加奈子は凪たちと陸の県大会の応援にいった。
わたしはそこで二つのことを知った。
まず一つは陸が注目を集めるほど有力な選手だと言うこと。
ある程度は分かっていたが、陸が自分から話をしてこないこともあって、それ程とは思っていなかった。
彼女の自分が知らないなんて、わたしは自己嫌悪に陥った。
団体戦は優勝候補に当たってしまい負けてしまったが、個人戦ではベスト8まで勝ち上がっていた。
もう一つは陸がメチャクチャ人気があるということ。
陸の試合には女子の観客が多く、絶えず黄色い声援が飛び交っていた。
他校の生徒すらも陸を応援していた。
確かに陸は背も高いし、とびっきりのイケメンだ。
そのうえ学業も優秀ときている。
それに素人のわたしにはよくわからないが、陸の剣道は他の選手とは違って見えた。
堂々としていて、静かで殺気立っていない。
あくまでも落ち着いて相手をさばき、一瞬にして勝負をつける。
わたしには、そんなふうに見えた。
わたしは心の中で必死になって応援していた。
大声で応援して、陸にプレッシャーをかけたくない。
でも陸の静かでクールな仕草に加奈子は目を奪われ、自分の躰が女の反応を示し始めているのに気付いていた。
陸の引き締まった自然体の表情、試合後の滴り落ちる汗、すごい男の色気だと思った。
今すぐ陸に抱きしめて欲しい。
思いきり陸に貫かれたい。
加奈子の躰の奥が疼いていた。
つづく
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