始業式が終わり、加奈子は隣の教室へと向かった。
早く陸に逢いたい。
二年生になり、加奈子は一人、仲間達とは別クラスになっていた。
大半の生徒が帰宅に向かった教室の隅で、陸と仲間達三人が小声で何かを話し込んでいた。
陸はその長身を持て余すようにして、深刻な表情で話を聞いていた。
久しぶりに見た陸は黒い髪が少し長くなっていて、少しだけ大人びた感じがした。
相変わらず整った凛々しい横顔で、剣道の夏合宿せいか更に逞しくなったような気がする。
そのしなやかな体つきに、女になった加奈子の躰の奥がドキッとした疼きを感じていた。
ああ、わたしやっぱり陸が好き。
絶対に陸を他の女に渡したくない。
陸のことを狙っている女の子が沢山いるのは知っている。
自分がその陸の彼女だと分かってはいても、うかうかしていたら、いつ横から手を出されるかわかったものじゃない。
加奈子は焦りを感じていた。
これも自分が他の男を知ったせいかも知れない。
加奈子は再び心の中で陸に抱かれる決心をしていた。
それも出来るだけ早いうちに、、、
わたしの躰で陸を夢中にして、わたしから離れられなくしておかないと安心出来ない。
そして二人でもっと新たなセックスの扉を開いて行きたい。
加奈子の躰が熱くなる。
加奈子は陸に近づき、みんなに見せつけるように大胆に陸の背中にしがみついた。
「陸、久しぶり、、、」
甘えるような声で両腕を陸の首に絡ませる。
わたしが陸の彼女なんだというアピールだ。
普段なら仲間がそれを見て冷やかしてくるハズなのに、どうしたことかその日は違っていた。
みんなが固まったようにして黙っている。
陸もまったく反応しない。
どうしたんだろう?
何かあったのかな?
不審に思いながら、加奈子は言葉を続けた。
「ねえ、、、これから久しぶりに、みんなでカラオケて行こうよ!」
わたしは陸の腕につかまるようにしてそう言った。
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