加奈子はバッサリと髪を切った。
そしてダークブラウンに染め、ベリーショートの髪型に変えた。
学校で凪と七海が声をかけてきた。
「どうしたの?加奈子、すごく似合うよ、、、」
「加奈子、すごく大人っぽく見えるよ、、、いいよ、、、うん、すごくいい、、、」
口々にそう言って褒めてくれた。
「ありがとう、二人にそう言ってもらえるとすごく嬉しい、、、」
ヒロも似合ってるよと褒めてくれる。
わたしは陸を見た。
上目遣いで陸を見つめる。
陸はそんなわたしをジッと見つめ声をかけようとしたが、思いとどまるように背中を向け行ってしまった。
陸に褒めて欲しかったのに、、、
陸、気に入らなかったのかな?
少し寂しい気持ちになる。
ダメ、ダメ、こんなことでめげていたら凪には絶対勝てない。
わたしは生まれ変わる。
もっと積極的な女になる。
そんなある日、チャンスがやってきた。
陸は部活が休み、凪たちは用事で、二人だけで話ができる。
わたしは陸の家を訪ねた。
陸は今、家には誰もいなくて何のおもてなしも出来ないけど、それでもいいならと言って快く部屋へ通してくれた。
久しぶりの陸の部屋だ。
前と同じくしっかりと整理されている。
懐かしい気持ちでいっぱいになる。
この部屋で、このベッドの上で、わたしたちは何度もキスをした。
恥ずかしかったけど胸をさらされ、大きくてすごくキレイだと褒めてくれて、すごく嬉しかった。
そして愛おしそうに陸は何度もわたしの胸を愛撫してくれた。
躰の奥に疼きを感じる、、、
でも今はこのベッドの上で、凪と同じことを、、、いやそれ以上のことを、、、最後まで、、初体験同士の二人がこのベッドで結ばれる、、、
胸がたまらないほど苦しくなった。
わたしは陸にこんな思いをさせたんだ、、、
陸はこんなに、、、こんなにつらかったんだよね、、、、
加奈子はあらためて自分の罪深さを悔やんでいた。
陸は飲み物を持ってきてくれた。
わたしの出で立ちを眩しそうに見つめてくれる陸が、わたしにはすごく嬉しかった。
わたしは今日、水色のワンピースを着ていた。
躰のラインが出る大人びたデザインのものだ。
そしてブラのラインもうっすらと透けていて、胸の谷間も程よく見えている。
陸がこういう服装が一番の好みだとよく知っているからだ。
わたしはまず初めに陸に謝った。
わたしはまだ陸に直接謝罪をしていなかった。
「陸、本当にごめんなさい、、、」
「わかった、、、もう謝るのはナシ、、、いいな?」
何気なく言う陸の優しさをすごく感じる。
「うん、、、でも陸、いろいろありがとう、、、わたし陸にすごく助けられた、、、」
「何のことかわからないな、、、」
陸はしらばっくれている。
陸のホンモノの優しさに思わず涙がこみ上げてくる。
まあ、それでいいか、、、
「陸、わたしの髪型、気に入らなかったの?」
「えっ、、そんなことない、、、すごく似合ってると思う、、、どうして?」
「だって、あの時何も言ってくれ無かったから、、、すぐいなくなっちゃうし、、、」
「それは、、、」
「なに?」
「ほら、、女の子って、、、新しく好きな人ができたら、、、髪型変えるって言うからさ、、、加奈子もそうかなって思ってさ、、、」
「ふーん、、でも違うよ、、、残念ながらそんな人、いません、、、」
「そ、そうか、、、」
何か陸がホッとしているように見えて、少し嬉しくなる。
つづく
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