遅くなりました(>_<)
良かったらのぞいていってください。
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私のバージンセンサーが大警報音を鳴らしている。
この男に付いていくことは危険だ、と。
『この後、ヤリましょうか』
ヤルって……ヤルってことでしょ!!?
エマージェンシー!エマージェンシー!!
「こっ、この後って…は、橋本くん、篠田さんたちに誘われてたじゃん。わ、私はご遠慮しますよ~」
「あぁ、あの人たちなら、いつでも言えばデキるんで大丈夫ですよ」
「ひっ!い、いやいやいや、篠田さんって、すごーーくモテるから、今日しかチャンスないかも!」
「う~ん、でも別に篠田さんがタイプってわけじゃないですし。高木さんの方がおもしろそうっすよね」
「お、おもしろくないですよ!私!人様をおもしろがせることなんて!とてもとても!!」
「ははっ!そういうとこ、おもしろいっす。
あの子らみたいにコロッと態度変えられることには慣れてますけど、高木さんって逆ですよね。
…俺みたいな奴は、嫌っすか?」
すぅっと橋本くんの顔が近づく。
ひぃぃぃーーー!!!!
「いっ、嫌です!そうです!タイプじゃないです!ごめんなさい!!(早口)」
ぐいぃーっと橋本くんを押し退け、必死で抵抗する。
な、何なんだ、この男は。
童貞の皮を被った未確認生物だ!!
「ぷっ…ははっ、高木さん、ほんとおもしろいっすね。そんな顔真っ赤にして拒まれると、逆に燃えるかも」
「だ、だから、私別におもしろい人間なんかじゃ…」
「うん、やっぱ今日は高木さんにします」
「な、な……なっっっ!!!」
キャパオーバーで呆然とする私はそのまま手を取られ、あれよあれよとタクシーに乗せられていた。
そして私でも聞いたことがあるホテル街へ向かう。
アレ、ナンデ、ワタシ、コノ人ト、タクシーニ乗ッテルンダッケ???
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ほぉぉ…
こ、こ、これがラブホテルと言うもの!!!
初めて入った…
貞操の危機だというのに、初めてのラブホに若干興奮してキョロキョロしてしまう。
決して足を踏み入れない場所だと思ったが、まさかこんな形で入ることになるとは。
てか、普通にキレイでおしゃれなホテル…
もっとドぎつい色の照明とか、センスのないインテリアかと思ってた。
「先、シャワー浴びてきますね」
さらっと言い残し、橋本くんはバスルームに消えた。
えぇぇ!!嘘でしょ、ちょっと待ってよ!
世間の人たちは、そんなスピードで進んでくんですか!!?
私は焦って部屋をぐるぐると動き回る。
い、今のうちに逃げようか…
いや、それはさすがに人としてひどいか…
しかし、今日初めてあった人とヤルなんて無理でしょ…
で、でも……このチャンスを逃したら、私は本当に一生処女かもしれない。
それならいっそ、ここで処女を捨ててしまった方が楽になるのでは?
むしろ、こんなこじらせたアラサー女とヤろうと言ってくれる人と会えるチャンスなんて、めったにないのでは??
「何ブツブツ言ってんすか?」
「あぎゃー!!」
訝しげな表情で、橋本くんが見ている。
て言うか…
「め、メガネ外して、前髪上げたら…別人ですね…」
さっきのリア充たちの誰よりもキラキラしている。
「飲み屋でも言いましたけど、田村たちにダサい格好で来てくれって懇願されてたんで」
「女の子全員…かっさらっちゃうから?」
「まぁ、そうなんでしょうねぇ」
「橋本くん、選び放題なのに彼女作らないの…?」
「ん~あんま興味ないんですよ。彼女とか、付き合うとか。相手が求めてくるし、自分も気持ち良いからヤリますけど、好きだから抱きたいとか、あんまそういう気持ちにならないんですよね」
「そ、そうなんだー…」
Oh…悲しきサイボーグみたいな奴だな。
でもそうか、橋本くんなら本当に後腐れなく処女を捧げてさよなら出来るんだ!
なんせ経験豊富だし、うまいこと済ませてくれるかも!!
うん!そうだ!!
「橋本くんっっ!」
「はい?」
「しゃ、シャワーを浴びてまいります。
その後…ヤリましょう!」
私は覚悟を決め、キリッと橋本くんを指さす。
「はぁ…いってらっしゃい」
私は鼻息荒く、バスルームへ向かう。
「あんな拒んでたのに…やっぱ変な人だわ」
ピコン♪ピコン♪ピコン♪
「…え、なんかすげぇ通知来てる」
『nanaさーん、22時になりましたけど、今夜は受付てますか?』
『nanaちゃん、たまにはおじさんとヤラない?nanaちゃんを苛めるイメしたいな』
『nanaさんとのイメのために、しばらくオナ禁してました!ぜひお相手お願いします!』
「ん?」
シャーーーー…
大丈夫、大丈夫。
奴はいろんな機能が搭載された、ヤリチンサイボーグ。
何にも恐れることはないのだ。
…とか言いながら、私の心臓はドックンドックンと大きな音を立てている。
「ふぅぅぅ~~き、緊張する…」
大丈夫、大丈夫…
気持ちはnanaになりきるのだ。
私は処女じゃない。
私は結構遊んでるのです。
今日も年下の男の子とワンナイしちゃいます。
呪文のように頭の中で繰り返す。
「よぉし!!」
これで処女から卒業できるんだ。
「お、おまたせ~」
跳ね上がりそうな心臓を押さえて、私は部屋に戻る。
「あ、高木さんってイメプレ嬢なんすね?
すげぇ数の通知が来てましたよ!」
ガクンガクンッ!!!
私は膝から床に崩れ落ちた。
〈つづく〉
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