青く黒い経験 3
夏休みの間 たぬ子と根岸は何回ウチに遊びに来たことか?、その夏休み 8月も20日を過ぎてしまった。
『今日こそは、今日こそは』と思いながら 未だに聞けずにいた『…デキてる』という噂を確めたくてアレコレ作戦を考えていた。
カラーボックスの下段に入れてあるジャンプやマガジンの上に『プレイボーイ』や『週刊◎◎』を わざと置くことにした、食い付いてくれる事を願って。
上手い事 食い付いてくれたら 自然とHな話しになるだろう?、と期待していた。
13:00過ぎ、2人がやってきた。
たぬ子の手にはスーパーのレジ袋を下げている、どうやら おやつや飲み物を買って来てくれたらしい。
俺がベッドに座り、2人はガラステーブルを挟んで向かい合って座る、いつしか それが定位置になっていた。
そのガラステーブルの隅には『言い訳』程度に
宿題が置かれるのも暗黙の了解になっていた。
あとは ダラダラと お菓子を食べジュースを飲みながら くっ喋る。
俺がトイレに行って戻ってくると 計画どおりに根岸が食い付いてきてくれた。
「山根くん、こんなの(雑誌)読んでるの?」
週刊◎◎をパラパラとめくりながら聞いてきた。
「そりゃそぅだよ、これでも健康な中3男子だぞ、何だと思ってたんだよ」
「お前らだって読むんだろ?、(雑誌の)名前とかは分かんないけど、その、大人の女の人が読む奴 とか、読んだ事ないって事はないんじゃないの?」
見栄を張って精一杯そぅ言った。
歯がカチカチいって、身体の色んな所が震えてた。
根 「そりやぁねぇ、さっちゃん?」
た 「ん?、うん」
俺 「俺より もっと 進んでんじゃないのかな?、って」
根 「なにそれ?、進んでるって」
俺 「だってさ、ほら、……」
根 「それってアレ?、私とさっちゃんが どぅの… ってやつ?」
俺 「ああ…」
根 「どぅ思ってんの?山根くん、信じてんの?あの噂、ねぇ、どうなの?」
俺 「… … …、俺が健康な中3男子な様に」
根 「私達も 健康な中3女子 だろう?、って事?」
俺 「…まぁね。興味が無い方がおかしい って言うかさ…」
た 「…そぅだよ、興味あるよ私達だって」
いつも根岸に仕切られてる たぬ子がクチを開いた事が以外だった。
「まぁちゃんと2人の時は『お姉さんの雑誌』とか見て 話したりする時だってあるわよ、だからって私とまぁちゃんがレズとか 無いから、そんな事」
たぬ子の『レズ』発言、ビックリした。
俺 「じ、じゃぁ、アレ?」
「好きな男子とか芸能人とか そんな話とかすんの?」
た 「そぉよ、いけない?、山根くんが言う様に『健康な中3女子』だもん 私達だって、ねぇ まぁちゃん」
根 「そ、そぅよ、ねえ さっちゃん」
根岸の方が『面喰らって』いた。
た 「気になる男子とか、こんな彼氏が良いとか、そんな話しもするよ」
俺 「へ、へぇ、そ、そぅなんだ」
た 「そりゃそぅよ」
俺 「か、彼氏が出来て?、……そのあと とかも想像したりすんの?」
た 「そのあと…って?」
俺 「デ、デートだよ。どんな所が良いとか」
た 「…するよ、買い物とか映画とかね」
俺 「…そ、そぅなんだ」
「じゃぁ、たぬ子が好きな誰かと何処行きたい とか 根岸が誰かと何処っか とか?」
た 「そうだよ。誰が好き とか 誰が気になるとか、その人と こんなデートしたいとか、ね まぁちゃん?」
根 「ちょっ、さっちゃん、そんな事まで…」
「もぉお。そぅよぉ。私達だって あの人と こんなデートが出来たら良いなぁとか、そんな話しはいつもしてたし 今もするわよ、私達2人の時はね」
俺 「じぁアレ?」
「その……、ファーストキスとか」
「そのアレ…、『初めて』の時の事 とかも 話したりすんの?」
た 「…するわよ」
俺 「本当?、本当に?」
「やっぱり進んでんじゃん俺より、俺 そこまで想像した事なんてねぇもん」
「なぁ、もぅ『済んでる』って事はねぅよな?」
た 「それって『初めて』って事?。それは教えない。女子が そんな事 教える訳ないでしょ、バカじゃないの?」
根 「気になるの?山根くん、どっちだと思う、ねぇ山根くん どう思う?、『噂』信じてたんでしょ?、ねぇ」
た 「そぅよねぇ。どぅなの山根くん?」
俺 「ン~、どぅって言われてもさぁ」
「だけど たぬ子の話しだと その…、『レズ』って事は無さそうかな、あと『男子とも…』無いかなぁ?って…」
「でも、アレだよ、そんな『噂』のなる位 いっつも一緒なんだろ?、その…、『練習』とか してんじゃないかなぁ?って、その…ファーストキスとかの… … …」
そぅ言ってしまって、次の言葉に困って2人を見ていると、『ポーッ』と たぬ子の顔が赤らんでいった。
俺 「そのぉ…、『大人のキス』ってさ …違うんだってよ」
根 「…違う…、って?」
俺 「その、『舌』、入れるんだって。ただ『チュッ』ってするだけじゃないだって。『舌』吸ったりすんだってさ…」
「……違うよ。書いてあったん、先月号だか何だかのプレイボーイだか何だかに…」
「知ってた たぬ子?、知ってた?。そんな話しとかもすんの お前ら」
た 「…うん。……ねぇ、まぁちゃん」
俺 「すげぇ、知ってたんだ、お前ら」
「…、だから そんな『練習』とかは した事有るんじゃねぇかなぁ?、ってさ」
「『レズ』とかまでは行かなくてもさ、お前らなら『有る』かなぁ、っては 思った」
真っ赤になってしまった たぬ子と、キョロキョロと少し挙動不審な根岸が 顔を見合わせている。
俺 「『有る』んだ?練習した事、たぬ子も根岸も『おかしい』もん、そうだろ?、なぁ」
根 「ちょっとだよ。ちょっとだけ『チュッ』って。鼻が邪魔だから こうするんだ とか言いながら ちょっとだけ、ねぇさっちゃん?、ちょっとだけだよね?」
俺 「ほらっ、やっぱり有るんじゃん」
「で?、何なに?、どぅだった?練習しててさ、そのさ…アレだよ…、変な気になっちゃったりとかしなかったのかよ、どぅなんだよ?」
た 「する訳ないでしょ『練習』なんだから、バッカじゃないの、馬ぁ鹿」
俺 「本当かなぁ。『練習』なら『変な気に』なんねぇのかなぁ?」
「でも良いよなぁ お前ら、『練習』出来る相手が居てさぁ、俺 そんな奴いねぇもんなぁ『練習』しときてぇなぁ俺も。」
「あっ、ゴメンゴメン、別に お前らに『練習』させてくれ って言ってんじゃねぇからな、勘違いすんなよな」
「恥ずかしいじゃん、鼻ぶつけたりしたらさ、なっ、そうだろ?、嫌だろ?お前らだって『鼻ぶつかって やり直し』とかってさ」
「でもさ?、『練習』って その、『チュー』だけなの?」
根 「もぉお、さっちゃんが 変な事言い出すから…、きっと『変な気に』なっちゃってるよ山根くん。…でしょ?、違う?」
「帰ろ さっちゃん、襲われちゃうよ山根くんに、ねっ帰ろ?」
俺 「何だよ『変な気』ってさ」
「そりゃあ少し『ドキドキ』してるけど、『襲ったり』しねぇよ、するわけねぇだろ そんな事 バッカじゃねぇの」
た 「そぅだよ まぁちゃん、私達『2人』居るんだよ、2人1度になんか襲えないでしょ、いくらなんでも」
「でも、そろそろ帰ろっか、まぁちゃん」
根 「うん、帰ろ、さっちゃん」
た 「じゃぁね山根くん、帰るね、また明日ね、バイバイ」
たぬ子の『また明日ね』が、以外だった。
『きわどい』話しもしたし、『噂』の話から『あわよくば』と アレコレ妄想していた事も上手くいかなかった、警戒されて 暫くは来ないだろうと 半ば諦めていただけに 以外だった。
自転車を押して歩く2人を『通り』まで見送った。
その帰り、目の前家のオバサン『門脇君子』さんが洗濯物を取り込んでいた。
「こんにちはぁ」と頭を下げた俺に
「あら健ちゃん こんにちは、今日も宿題?、受験だもんね?、頑張ってね。でも終わりそぅ?『宿題』、頑張るのよぉ」と、意味ありげに微笑んでいた。
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