today´s DETA
physical age:13
height:150㎝
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目の前で次々と起こった非現実的な出来事に、私の脳みそはキャパオーバーとなりふらふらとへたり込んでしまった。
どうやら、そのまましばらく眠っていたようだ。
時計は0時過ぎを指している。
「…なーんだ、夢だったかぁ~」
〈そんなベタなオチはないからね〉
目の前にさっきの小さな女の子がくるくると回っている。
そしてソファには、座ったまますぅすぅと寝息をたてている小さな来島くんもいた。
「あぁぁ~夢じゃなかったかぁ~~」
ガックリとうなだれる。
ちなみに、この小さな彼女に名前を聞くと《私は説明書の「No.5211」だから、特に名前はないよ~》と言った。
名前がないのは不便だし、番号で呼ぶのも何だか可哀想だったので、5(コ)2(ニ)1(イ)1(ー)…コニーちゃんと呼ぶことにした。
コニーちゃんはその名前を大層気に入って、嬉しそうにくるくる飛んでいた。
〈来島くん、ぶっ倒れた塔子ちゃんを必死にベッドまで運んでたわよ。「重い重い」って言いながら…〉
「っ!腹立つなぁ~~しかも呑気に寝ちゃって」
〈まぁまぁ、体力も腕力も13歳なんだから(笑)
こんな時間まで起きてるなんて、子どもにはキツいんでしょ〉
「まぁ…そうだけど」
はぁ…とため息をつきながら来島くんに毛布をかける。
「来島くん、座ったままじゃなくて横になって寝たら?」
「ん、んぅ~」
かけた毛布に頬ずりしながら、そのままパタンと横に倒れてしまった。
改めて見てみると、中学生の来島くんはとても可愛い。
つるつるな肌や髪、長いまつげ、華奢な手足。
小柄で声変わりもしてないから、本当に「美少年」という感じだ。
「…イケメンは子どもの頃からハイスペックなのね…」
ぷにっと頬を突っつくと「んぅ~」と可愛く反応する。
「……う、可愛いな」
〈今なら合法でやりたい放題だよ♪〉
いつの間にかソファの縁に座っていたコニーちゃんがニヤニヤと笑っている。
「ち、違うから!そういう意味で言ったんじゃないから!」
〈照れなくていいのに~〉
「…ねぇ、本当に来島くんとセックスするしか方法はないの?」
〈それ、塔子ちゃんが寝てる間に来島くんにも聞かれた~
セックスするだけなのに、そんなに大変なことなのぉ?〉
「そんなに大変なことなのよ…」
私のこと好きでも何でもないって分かってるのに、今さら来島くんと…しかもこんな姿になってるのに…
「んん……めん…ご、めん…ね…さかき…」
「………」
〈あら、彼にも何だか罪悪感があるのかなぁ~
ほらほら、人間って仲直りエッチってのがあるんでしょ?そういうことにしといたら??〉
「ケンカしてるわけじゃ…ないんだって」
謝るくらいなら、何であんなこと言うのよ。
釈然としない。腹の虫も治まらない。
痛い目にあえば良いって思っていたのに、いざ困っている姿を見ると放っておけない。
「はぁぁ…私ってめんどくさい」
〈塔子ちゃんみたいなめんどくさい人間、たくさんいるから大丈夫よ♪〉
コニーちゃんは羽をパタパタと動かし、私のむくれた頬をくすぐってくる。
「…今日はもう疲れた。明日考える…」
どっと疲れた私は、そのまま眠りに落ちてしまった。
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ガツガツガツ!
ごくっごくっ…
「ぷはっ!おかわり!」
「…は、はい」
来島くんは、朝っぱらからご飯をもりもりとたいらげ、2回目のおかわりをせがんだ。
「いつも朝からこんなに食べてるの?」
「いやいや、身体と一緒に食欲も育ち盛りの時に戻ったんだろ。
俺チビだったから、デカくなりなくてすげぇ食ってた記憶があるよ」
悪夢のような日から一夜明け、来島くんは私の部屋にしばらく居候することになった。
(身体が急におかしくなったら怖いじゃないの!)
もちろんこんな姿で仕事に行けるはずもなく、当面の間は仕事を休むことになった。
「度重なる腹痛と頭痛と肩の脱臼と足の捻挫で動けないので、しばらく休ませてくださいってことにした」
「そんなむちゃくちゃな理由が通るなんて、部長も来島くんに甘いんだから…」
「まぁ日頃の業績と信頼のおかげかな」
本当のことだから、自惚れるなとも言えない。
「じゃあ私は仕事に行くけど、何か身体がおかしかったらすぐに連絡ちょうだいよ!」
「はーい。いってらっしゃーい」
カチャカチャと食器を片していると、まだ眠たそうなコニーちゃんがふよふよとやって来た。
〈塔子ちゃん、仕事に行ったのね~〉
「うん」
〈わっ、お昼のお弁当まで作ってる!
なーんて言うか、本当お人好しな子ねぇ~〉
「……そこが良いんだよ」
〈じゃあ何であんなひどいこと言ったのかしらねぇ~25歳の来島くんは~〉
「それは……それは、まぁ…いろいろあって…
あ、ほら!このあと服買いに行くから付いてきてよ。いつまでもこれじゃ動きにくいから…」
ブカブカのシャツの袖を何度も捲りながら、不便そうにぼやいた。
つづく
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