彼女と約束した日になった。
空は雲ひとつない青空が広がっていた。
僕は彼女を県内で有名な桜の木がたくさん植えられている公園に行こうと計画を立てていた。
待ち合わせはMドナルドの100mほど先にあるコンビニの駐車場であった。
僕は待ち合わせの30分前にそこに着いた。
僕は車から降りて灰皿の前でタバコを吹かせていた。
1本目が吸い終わる頃に、通りの向こうからピンク色のワンピースを着た可愛らしい子が目に映った。
それが藤堂さんであると理解するまでさほど時間はかからなかった。
僕は手を挙げて彼女にわかるように手を振った。
彼女は小走りになって僕に近づいてきた。
「お待たせしました。今日はよろしくお願いします。」
礼儀正しい言葉遣いと彼女の見せる笑顔で僕はは胸が高まるのを感じた。
「実はお弁当を作ってきたのですが、良かったら◯◯公園に行って桜の花見をしながらお食事しませんか?」
「えぇーっ、私のためにお弁当まで作ってくれたのですかぁ?私の方がお侘びをしないといけないのに、返って悪いですよ。」
そんな彼女の真面目さに僕はだんだん惹かれて行った。
「じゃあ車に乗りませんか?」
僕は助手席の扉を開けて彼女をエスコートした。
僕は運転席に乗り込みエンジンをかけて車を発進させた。
「すごく素敵な車ですね。私車に乗せてもらうのが大好きなんです。」
彼女の顔を見たら、目が輝き生き生きとした表情であった。
「あのぉ、ところで私はあなたのことを何とお呼びしたらいいでしょうか?」
僕は着ていたジャケットの内ポケットから名刺入れを取り出し、中から一枚の名刺を抜き取り彼女に渡した。
「えぇ、すごぉい。◯◯商事って超有名ですよね。それでこんな素敵なお車に乗られているのですね。えーっと、お名前はっと、、、うえむらなおと?ってお読みしたらいいのですか?」
「いや、かみむらなおひとと言います。」
「あっ、ごめんなさい。上村直人って書かれていたので。じゃあ直さんって呼んでもいいですか?」
「はい。じゃあ僕はゆかりちゃんって呼んでもいいかな?」
「ゆかりって呼び捨てにしてください。その方が嬉しいので。」
車内では彼女のプライベートのことをいくつか聞き出すことが出来た。
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