ある会社の思い出41
移動7
脚立の反対側に移動するとき、要美樹のからだの側面側にある窓が目に入った。引っ越しのためにカーテンを取っ払った窓から、いつも見ている向かいのマンションのベランダが見えた。
この部屋の欠点は、となりのマンションと6-7メートルぐらいしか離れていないこと。お隣さんと顔合わせという感じなのだ。だから、カーテンを閉めっぱなしにしてた。覗かれるのがイヤだから、、、
でも、今は覆うものが1つもない。
天気のよい日なので、見るからにまだ若々しい大学生みたいな主婦が洗濯物を干している。ブラとパンティーだけ干したところで、やめてしまったようだ。近くのバスケットには洗濯物の山。手が止まっている。
もう昼だというのに、上はパジャマ、下はパンティーのまま。お向かいさんがカーテン閉めっきりだから、いつもこんな格好でベランダに出ていたんだろう。
そのちょっと自堕落な主婦は、ずっとこの部屋を見つめている。この主婦も遠目にもきれいな女だとわかる。戸田英利加に似た若い女の子。
ベランダの手すりから身を乗り出すようにして、この部屋を見てる。
「要さん、要さん、右を向いてみて。窓の方、、、」
脚立の上でカーテンがなくなった窓ガラスの先を見て、要美樹は悲鳴のような声をあげた。
いや~
な、なんで見てるの?
あのひと、なんで見てるのっ?
※元投稿はこちら >>