ある会社の思い出143
社員寮75
ラインの7件はぜんぶ引越し便の村田悠美からのものだった。僕は無意識に選り分けて連絡方法を教えてたのかも、、、
ラインを交わしたのは、悠美さんだけで、あとの女性達はショートメールだけ。もちろん悠美さんには携帯の電話番号も教えたけど、他の女性とラインを交わすことを考えなかったのは、どこかに悠美さんだけを別格の彼女と考える気持ちがあったからなのかもしれない。自分のことだけど、特に意識してないことの中に、自分の本音が表れるものかもしれないと思いながら、メッセージを開いて読んだ。
・楽しかったね、なにもかも、ぜんぶ楽しかったね。
・あの後、林葉さんから無理やりもらっちゃったDVD見て、私、林葉さんの感じるツボがわかっちゃった。林葉さん、明るく楽しくセックスしたいんだよね?ちがうかな?
わたし、なんだかあなたのツボと同じ感覚なの。笑いのツボみたいにhのツボって大事だよね(笑)
・ねぇ、この前みたいに宗介さんて呼んでいいかな? わたしね、今度、エリアマネージャーに昇格することになったの。でも、正直言うとね、、、あっ、やっぱり言えないな、、、でも、言うね。
宗介に会いたくて会いたくて、もう仕事のこと、それほどこだわってない自分がいるの。そんな悠美のこと、宗介さん、どう思うかな?弱いから嫌い?でも、この気持ち抑えられない、、、宗介さん、ダイスキ槌
・いちばん大切なことがなんだかわかったの、、、宗介さんがわたしをどう思ってくださってるのか、、、それが私にとっていちばん大切なことなの
・会いないな、会いたい、会いたい、会いたい。せつないくらい会いたいの
・はっきり伝えるべきだったよね、わたしの気持ち。悠美は宗介さんにとっていちばん大切な人になりたい。恋人なんて半端な気がする。宗介さんのためなら、天国も地獄も一緒に歩きたい。
・わたしばっかり話してるね、ごめんね、、、お仕事忙しいのに、、、シツコイ女ってイヤだよね、、、わたし、我慢します。
宗介さんからのお返事が来るまで、一方通行の恋は我慢です。
がまん、がまん、がまん、がまん、でも
泣けてきちゃう(T-T)
明日は早朝から出勤なのでもう寝ますね
あっ、このひとが好き。この壁がない正直な感じが愛おしいなっ、、、僕は文面を繰り返し読んで、そう思った。
悠美とどうして離れ離れになっちゃったのかな?
悠美と毎日会えるなら、、、というよりも暮らせるなら、あの小さな街に戻って、商店街のホームページづくりかなんかで、細々と生活するのも悪くないなと思った。
でも、もう1つのたいせつな出会いを捨て去ることも自分にはできない気がした。心もからだもずっと密着し続けて知った美久ちゃんの魅力、それが悠美の元に走り帰る気力を奪い取ってしまう。
大きな溜め息がひとつ出た。
女性への自分の貪欲さに呆れた溜め息だった。
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