ある会社の思い出123
社員寮55
瑠衣未はすこし怯えた目で僕を見つめた。エレベーターの中の青みがかったLEDライトに照らされた彼女の怯えた顔がハッとするほど美しい。
体の前はくしゃくしゃの白いTシャツで覆われてるけど、肩と腕、それに長くて細い太ももとスネが剥き出しのまま、手を伸ばせば届く位置にある。
剥き出しの肩も腕もスネも太ももも、みんな肌理の細かいモチ肌で、セクシーだった。それを見た途端、瑠衣未のからだを抱きしめたくなったけど、物音を立てられないので、静かにしていると、エレベーターの扉の外まで来て、女性の足音が止まった。
エレベーターの中の気配を窺ってるのかな?
瑠衣未を見ると、自分の右手の親指を口にやり、不安そうに爪を噛んでいる。
中の様子を窺ってるだけならいいけど、まさかエレベーターを使うのじゃないよな?
イヤな空想が働いて、僕も不安になる。
一瞬止まった足音は、やがてこのマンションのガラス張りのエントランスの方向に向かって、遠のいて行った。
自動扉が開くモーター音がかすかに聞こえて、その後、足音は完全に聞こえなくなった。
僕はエレベーターの中で佐久瑠衣未を抱き寄せようと近づいたけれど、彼女はスッと立ち上がって、すぐに3階のボタンを押した。
ちょっとだけ振動しながら、エレベーターが昇り始めて、3階に着くと扉が開いた。
瑠衣未は、エレベーターから降りるとすぐに通路に回り込むように小走りで進んで、横塀状の張り出したところから、身を乗り出した。
今の足音が誰だったのか、確かめるためだろう。
瑠衣未の陰に隠れるようにして、僕もマンションの前の道を歩く女性の後ろ姿を目で追った。
その時だった。遠くからでも矢のような鋭い視線だったのだろうか? 道を歩いて行くスタイルのよい女性が突然、振り返って、僕たちを見た。
それは、、、2階201の木嶋みつでもなければ、寮長の小池真知子でもなかった。もちろん、102の町田ユキでもなかった。
いちばん、そうであって欲しくなかった杉原美久だった。
寝ていたはずの美久ちゃんが起きて、僕が散歩に出たのを知って、ちょっと追ってみようかなと思ったにちがいない。
でも、振り返り見上げた美久の目に瑠衣未の後ろにいた僕の姿も見えてしまっただろうか?
位置関係がビミョーで、見えてしまったかどうかがわからない。
でも、佐久瑠衣未があられもない姿で3階から自分の後ろ姿を目で追っていたことだけは、はっきり見て知ってしまったにちかいなかった。そこから推理して、美久はどう考えるだろう、、、
すぐに振り返り見るのをやめて、何事もなかったように、美久は道を歩いて行ったけど、佐久瑠衣未は真っ青な顔で僕を見つめて、「見られたよ、どうしよう、、、美久に見られた、、、どうしよう林葉さん、、、」とうろたえながら、呟いた。
僕は自分の動揺を隠すかのように、佐久瑠衣未を抱き寄せて、「大丈夫、きっと大丈夫、、、美久ちゃん優しいから、、、」と、慰めにもならない言葉を口にしていた。
美久は佐久瑠衣未の姿を見て、どう思ったのだろうか?
僕かはやくも、僕の方から佐久瑠衣未を誘ってSEXしたんだと思い違いをしないかな? そんなことで、美久との良い関係を壊したくない、、、そんな身勝手な思いに捕らわれた。
その時だった。
出会った時と同じように、瑠衣未は僕の手を握ると、すぐに手を引っ張って、階段を取り始めた。
すごい力でぐいぐい引っ張られる。
すぐに、自分の部屋の202号室の前に着くと、その部屋の扉の鍵が自動的に解除される音がした。
瑠衣未は荒々しく扉を開けると、僕を玄関の中に引っ張り込んで、いきなり抱きついて来た。
林葉さん、ここでわたしを犯して、、、思いきり犯して、、、
哀願する声だけど、瑠衣未は刺激的な言葉で僕を挑発する。
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