(前回68回目
移動34回でした)
ある会社の思い出69
社員寮1
小倉とは比べものにならない大きな街の中でバスを降りた僕は、大きなビルの方に向かって歩き始めたけど、こっちの方向でいいのか、ちょっと不安。
振り返ると、ちょうどラブトリーがバスから降りてくるところだったのて、待ってたけれど、森内さんと長々話していて、なかなか来ない。
お互いに携帯を取り出して、連絡先交換みたいなことしてる。2人とも本当はレズビアンだったのかな?
ラブちゃんはそう言ってたけど、乗務員の森内芽衣沙も本当はレズビアンだったんじゃないのかな?
そんなことをぼんやり考えながら、ラブちゃんがこちらに歩いて来て、一緒に駅まで案内してくれることを期待してたけど、森内さんと別れると彼女は別の方向に歩いて行っちゃった。
かなり距離があったのに、森内さんが僕に気づいてくれたので、大きく腕を伸ばして駅の方かなと思う方を指差してから、わからないという感じで首をかしげてみた。
森内さん、両手の指で小さな輪を胸のあたりで作って、首を縦に、、、
仕草がかわいらしい。
それから、また深々と頭を下げて礼をした。やっぱり運転手さんを意識してるのかな?
でも、こういう感じも嫌いじゃないな、、、なんて思いながら、森内さんがOKのサインを出してくれた線路沿いの道を歩いて行く。
大きな家電の量販店が右手に見えてきたと思ったら、左側に駅の入り口が見えてきた。
駅構内の大きな通路には、まだ朝6時なのに通勤客や観光客がかなり歩いている。面接の時もそう思ったけど、やっぱり大都会はちがうなあと思った。
通路を抜けて私鉄に乗り換えて、数日前に黄金原社長と初めて会った小さな駅に降りた。まだ寝ぼけてるのか、駅前のロータリーをぼんやり見てると、面接の日のことが遠い昔のことのような気がした。
でも、駅の右手に見える立派な公衆トイレを見たとたん、リアルにいろんなことがはっきりよみがえって来た。
あの黄金原社長のおしゃれなドレスや車、僕好みの顔やおっぱい。なぜか、おあずけ状態の彼女とのセックスのことも思い出した。なんだかワクワクして来た。でもその前に、この駅に近い社員寮に行って、明日までに部屋を整えておかないと、、、
ボストンバッグがだんだん重くなって来たなと思って歩いていたら、突然、ちょっとこぎれいなマンションが目の前に現れた。
マンションの入り口のガラス張りの扉はロックされていて入れない。入り口の左横の壁にカメラ付きのインターホンがあったので、ボタンを押してみた。
今日からこちらでお世話になる林葉宗介と言います。玄関がロックされてて入れなくて、、、
(溌剌とした女性の声)
お待ちしてました。今、玄関開けますね。入ったら3階の301号室に行ってください。ドア開きますから、、、そうそう、わたし寮長の小池真知子と言います。あとでお邪魔しますね。
僕はエレベーターで3階に。各階が2軒という贅沢な造り。
扉も立派。頑丈そうなあずき色の金属でできていて、雪の結晶みたいなかたちの浮き彫り調。ドアノブを回して重い扉を開けた。
扉を開けて、マンションとは思えないくらい広い玄関。でも、いきなり目に飛び込んで来たのは、ちょっと段差がついた玄関奥のフロアーで、きちんと正座して少し頭を下げて、こちらを見つめる女性がいたことだ。
(見知らぬ女性)
お待ちしてました。わたし、同じ会社の杉原美久と言います。お引越しのお手伝いさせていただいてます。
僕は驚いて、口もきけなかった。
自分の部屋に女性がいたことに驚いただけじゃない。
彼女の顔が、僕が好きで好きでたまらない女優の日賀愛里そっくりだったから。なぜ、こんなとびきりいい肉感的な女が僕の部屋にいるのかな?もう、頭がパニック状態になった。
でも、もっとびっくりしたのは、彼女の服装、、、というか、これは服と呼べるのかな?
全裸の上に、シースルーのルームウェアだけ。すとんと頭からかぶるかたちのもの。それだけ着て、正座して軽く手を膝腕に置いて、こちらを見上げるその表情は、もう何年も一緒に暮らしてるかのように、なごんでいる。シースルーの生地越しに見えるのは、もうむしゃぶりつきたくなるほど熟れた女のからだ。
ど、どうしたらいい?自分、、、。
でも、ココは、じ、自分の部屋だ。
と、とりあえず、挨拶して中に入ろう。
そう思ったとたん、日賀愛里似の杉原美久が口を開いた。
「お疲れなのに、気が利かないわたしってダメね。
お荷物持ちますから、中に入ってくつろいでください」
日賀愛里そっくりのイイおんな(杉原さん)が立ち上がって、僕のボストンバッグを持って、部屋の中に入って行く。
その後ろ姿を僕は失礼なくらい舐めるように見た。
お尻は大きめだけど全然垂れてない。ウェストはしつかりくびれてる。脚は長くて引き締まってるけれど、太ももには適度に肉がついている。全体にとがった印象がなくて、抱き心地がよさそう。男を求めてるような官能的なからだ。
杉原美久が振り返って、わたしのからだ見てましたねみたいないたずらっぽい笑みを浮かべた。
部屋に入るとびっくり。運び出した荷物は全部、梱包がほどかれて、なにもかも暮らしやすそうな場所にきちんと収まっている。
(僕)
これ、誰がしてくれたんですか?
(杉原美久)
あっ、ぜんぶ、わたしがしました。
林葉さん、大変かなって思って、、、
不思議なもので、それを聞いただけで、感謝というよりも、この女性が急にいとおしくなってきた。
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