俺はその日の為に有給を穫った。そしてその日になった。俺達は車で駅に向かい、駅前の駐車場に車を停めた。七海は緊張している様だった。「そろそろ行こうか」と言い車を降りた。七海の足取りは重かった。指定した駅前の喫茶店に入った。店員が「何名様でしょうか」と聞いたが「待ち合わせなんですが」と言って店内を見回すと、1人の女が立ち上がって俺達を見ていた。すぐに奈緒子だと分かった。七海に「あの人?」と聞くと、七海は視線をやり「…うん」と言った。柔らかな雰囲気を持った女性で七海に似ていた。俺は(やっぱり親子だなぁ)と思った。挨拶をして席に着いた。店員が来て水を置いた。俺は「アイスコーヒーとアイスティーを1つずつ」と頼んだ。七海は下を向いたままだった。沈黙が支配していた。俺はいたたまれなくなり「あの今、どちらに住んでるんですか?」と聞いた。奈緒子は「〇〇市の××って所のアパートで1人暮らししてます」と答えた。孤児院から数キロの所だった。
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