私は背中側にあるワンピースのファスナーを締める時にキラッと光る何かが鏡に映ったのが視界に入った。
それが見えた方向に視線を移すとカーテンの隙間からレンズらしきものが見えていた。
(あっ、盗撮!)
私はファスナーが途中なのも無視して左手で思いっきりカーテンを開けた。
しかし、そこにはカメラらしきものも人らしきものもなかった。
(自分の思い過ごしかな?)
そう思いもう一度カーテンを閉めて、途中になっているファスナーを締めて試着室を出た。
試着室から程よく離れた場所にお客さんがいた。
「お客様、こんな感じですけど、、、」
私は彼に声をかけた。
「くるっと一周回ってもらってもいいですか?」
私はゆっくりとその場で一回転した。
私が回転したことでスカートがフワッと持ち上がり、スカートの下にある素足が少し剥き出しになった。
「ありがとうございます。店員さんはこのワンピースは持っていますか?」
「私はこのワンピースは持っていませんけど、とっても可愛らしいお洋服ですよね。こんな素敵なお洋服をプレゼントされるなんて彼女さんが羨ましいです。ホント素敵ですね。」
「そんなことないですよ。僕が一方的にプレゼントするだけですから。」
「彼女さん、絶対喜びますよ。」
そう言って私は試着室に戻り服を着替え始めた。
着替えている最中、時折カーテンが不自然な動きをしたが、気のせいだと自分に言い聞かせながら、カーテンのことは無視した。
着替え終わって試着したワンピースを左手にかけてレジまで持っていった。
私はタグのバーコードに機会を当てて値段をレジスターに表示させた。
「お会計、15000円になります。」
彼はポケットから財布を取り出し、中から1万円札を2枚取り出した。
「現金でお支払いですね。5000円のお釣りになります。商品をお包みいたしますまで少々店内でお待ちください。」
彼はレジから離れ、お客さんたちがいないメンズのパンツコーナーの前で商品を見ていた。
私は急いで商品を包みラッピングを施した。
完成したラッピング袋を手にして彼が待つパンツコーナーへと足を進めた。
「お客様、お待たせしました。入り口までお持ちします。」
彼は首で頷いて店内の入り口の方に私の前を歩いて進んでいった。
入り口付近に行くと彼は振り返り私の方を見た。
私は手にしてしたラッピング袋を彼に手渡そうとした時彼の口からは思いもかけない言葉が発せられた。
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