桜の季節には乗り遅れた5月も中旬に入社して、2カ月近くが経過していた。
それなりに仕事も覚えたが、相変わらず美映子さんと一緒の仕事が続いていた。
今日も入居者の引き払ったアパートを、美映子さんと片づけに行く事となった。
7月も下旬になると、梅雨時期特有の湿った感じも薄れ、肌に感じる風もすがすしく思えてくる。
アパートの駐車場に車を停め、掃除用具を手に目的の部屋に向かう。
美映子さんはあらかじめ大家さんから借りた鍵を取り出すと、部屋の扉を開け室内に入った。
美映子さんに続いて室内に入ると、室内に滞留した熱気に自然と汗が額に噴きだす。
「じゃあ、始めようか。」住人が退去した室内に家電製品などは見当たらず閑散としていたが、所々にダンボール箱や雑誌の類が残されていた。
『そうですね。』背広を脱ぐと、開け放たれた押し入れに背広を置き、ネクタイを緩めた。
「柊ちゃん、先に始めちゃっていいから…。」そう言い残すと、美映子さんはトイレに入っていった。
『さて…。』室内を一瞥し、部屋に乱雑に散らばった雑誌を広い集める。
【ガチャッ】扉が開けられた音に振り返ると、トイレから出た美映子さんが立っていた。
美映子さんは、見慣れた白いブラウスにチェック柄のベスト、紺色のタイトスカートの制服から、紫色のタンクトップに紫色のジャージに着換え、トレンドマークの長い黒髪は後ろで結わえられていた。
『あっ、着替えたんですね…美映子さん。』
「だって、あんな恰好じゃ仕事にならないから…変かな?。」自分の姿を気にかかる様子に
『いいえ、その方が機能的なんじゃないですか。』そう言うと、
「そうだよね。じゃあ、仕事仕事っと。」と満更でもない様子で、腰を屈め同じ様に散乱している雑誌を拾い集め出した。
タンクトップから伸びる腕の肩口が露わになっている。
片づけをしながら時折、美映子さんに目をやる。
伸ばされた腕のタンクトップの袖から、綺麗に無駄毛処理された脇がのぞき、白いブラがちらついて見える。
跪く姿で床を拭く美映子さんの後ろ姿。
日頃はタイトスカートに隠されている、豊満なヒップが床を拭く度左右に揺れている。
ヒップに張り付いたジャージに、美映子さんのショーツの形がくっきりと浮かびあがっている。
【美映子さんの裸って、どんな感じなんだろう…。】仕事中と言う事も忘れ、美映子さんの裸を想像していた。
勝手な想像だけで、現実に裸の美映子さんがいる訳でもないのに、ぼくの肉棒は痛い位に膨張していた。
「あっ、見つけちゃった(笑)。」何個か置かれたままの、ダンボール箱の中身を見ていた美映子さんが声を上げた。
『どうしたんですか?。』自身の勃起を悟られない様、ゆっくり美映子さんの傍らに寄る。
「ほら、これ。」クスクス笑いながら、美映子さんがダンボール箱から手を抜くと、手にはパッケージに入ったビデオが握られていた。
『AVですかね?。』興味深げに手の中のビデオを見つめる。
何も書かれていない白いパッケージを開けると中のビデオには、出演女優であろう女性の名前だけが印刷されていた。
「どうかな…でも、なんか怪しいよね(笑)。」
『怪しいですね(笑)。』
顔を寄せ合って、笑い合う二人。
「じゃあ、これは柊ちゃんにあげる(笑)。」手にしていたビデオを突き出してくる。
『いや、そんな怪しい物…要りませんよ(笑)。』
「いいの、これは戦利品なんだから(笑)。」そう言うと、美映子さんはぼくの言い分も聞かず押し入れに置かれた背広の上にビデオを置いた。
美映子さんの年齢を考えれば、男の自慰行為を知っている事は容易に予想出来た。
それよりも、こんな下ネタめいた会話が美映子さんと交わされる事が嬉しかった。
その事で美映子さんとの距離が、随分近づいた気がした。
「柊ちゃん、今日の夜はそれで…やだっ、いやらしぃ…(笑)。」嫌味のない、乾いた台詞を投げかける美映子さん。
『何言ってるんですか、まだAVと決まった訳じゃないでしょう(笑)。』
そんなやり取りをしながら、部屋の片づけを続けた。
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