初出勤日、部長からぼくの教育係に抜擢された美映子さんは、翌日からぼくを伴いながら業務をこなす事となった。
美映子さん自身が運転免許を持っていなかった事もあって、社用車の運転はいつもぼくがしていた。
新しい入居者の為に部屋を掃除したり、大家と折衝したりと、それなりに仕事に追われながらも慌ただしい日が続いた。
最初の数日は遠慮がちに接していたぼくと美映子さんだったが、何日か行動を共にしていく内に打ち解け、いつの間にか自然な形で話す事が出来た。
そういった世間話や雑談は、現場に向かう車内で話す事が多かった。
話題に事欠いた時は、お互いのプライベートな事まで話す位、お互い気の置けない仲になっていた。
そんな会話の中で知りえた美映子さんは、年齢はぼくより10歳年上の33歳である事。
ご主人がいて、ご主人は美映子さんより17歳年上と言うから、もう50歳になる事。
子どもはいなくて、ご主人と二人っきりと言う事。
一番驚かされたのは、部長と美映子さんが実の姉妹だと言う事だった。
『えっ!じゃあ、美映子さんと部長って姉妹なんですか…?』車を運転しながら、そう美映子さんに聞いた。
会社までの帰り道、いつも通りの他愛もない会話の中で告げられた部長と美英子さんの関係。
美映子さんを○○さんと苗字で呼んでいたが【なんかよそよそしいし、堅苦しい…】という美映子さんの提案で、お互いを名前で呼ぶ事に決められた。
もっとも、社内では他の社員の目もあるので相変わらず○○さんと呼んでいるが、美映子さんとの間に秘密めいた関係がある事でワクワクしていた。
「えっ?柊ちゃん知らなかったの?。知ってるもんだと…。」意外といった表情を見せる。
『ええ、知りませんでした…。』部長は見た目で40歳位に思われ、美映子さんと姉妹と言われても不思議はなかった。
ただ、肉質な感じの部長と制服の上からではあるが、細身に感じられる美映子さんでは俄かには信じれなかった。
「意外だった?。」ハンドルを握り、正面を見つめるぼくの顔を覗き込む。
『ええ…正直なところ…なんか、部長と美映子さんの似た所が思い付かなくて…。』
「そう…似てる所って、どっちもおばさんって所かな(笑)。」美映子さんは、自嘲気味に笑って見せた。
『おばさんって(笑)美映子さんは、どっちかって言うとお姉さんって感じだと思うけど(笑)。』そう否定して言うと、美映子さんは
「そう言ってくれると、社交辞令でもお世辞でも嬉しいな。」と満更でもない様子で微笑んで見せた。
会社の駐車場に車を停めて、事務所に入る。
【お疲れ様】二人を認めた社員が、労いの言葉をかけてくれる。
二人そろって、部長席に向かうと作業の終了を報告する。
「そう、お疲れ様。…ところで、美映子。あなた健康診断、受けてないでしょう。」横に立つ美映子さんに問う部長。
「あっ!、まだです…。」バツが悪そうに部長に答える。
「やっぱり…じゃあ、明日行ってきなさい。柊司くんも一緒に連れっててね。」そう言うと、部長は書類に目を落とした。
軽く会釈すると、仕事の便宜上並べられた机に座る二人。
左隣に座った美映子さんは、顔を寄せてくると小声で
「じゃあ、明日会社で待ってるから。」そう告げた。
翌日、会社で美映子さんと合流し会社に指定された病院に向かう。
一通りの検査が終わり、待合室の椅子に腰かけて美映子さんを待っていると、腕にチェック柄のベストをかけ、歩いてくる美映子さんが目に入る。
『終わりましたか?。』立ち上がり、そう問いかけると
「うん、待った?。じゃあ、帰ろうか。」足早に出口に向かう、美映子さんを追う様に後に続く。
病院を出ると、駐車場に停めるある車に乗り込む。
助手席に美映子さんが乗り込むと、エンジンをかけた。
「ちょっと、待って。」車を発進させようとすると、美映子さんがそう言った。
『どうしました?忘れ物でも?。』そう問いかけると
「そうじゃないの…ちょっと…。」脇から背中に手を回し、モゾモゾと背中をなぞる美映子さんの仕草に
『どうしたんですか?。』
「ちょっと…ブラが…。慌てちゃったから、何か変な感じがして…柊ちゃんお願い。」一方的にそう言うと、美映子さんはスカートの中に差し込まれたブラウスの裾を引き抜きこちらに背中を見せた。
『お願いって、何を…。』美映子さんは、ブラウスを捲り上げると
「なんか、ホックが…ねえ、外れてないかな?。」脇近くまでブラウスが捲り上げられ、美映子さんの白い背中が目前に現れる。
『ホックですか…。あっ、なんか一つしかかかってないけど…。』突然の行為に戸惑いながらも、一方だけホックのかけられた薄い水色のブラが目に入る。
「直して、お願い。」僅かに顔を向け、懇願する美映子さん。
『でも…。』ブラを直す行為は、美映子さんの肌に触れる事になる。
そう思って躊躇するぼくに
「早く…お願い…誰かに見られちゃうからっ。」そう催促され、恐る恐るブラに手をやる。
ブラと背中の間に両手を差し込むと、薄らと汗をかいた美映子さんの肌の感触が、手の甲に伝わってくる。
緊張したまま、ホックを開け直すと
『これで大丈夫ですか?。』平静を装いながら、尋ねた。
ブラウスを下し、肩を上下させると美映子さんは満足気に
「うん、ありがとう。助かっちゃった(笑)。」と笑ってみせた。
ぼくの脳裏には、美映子さんの白い背中と、括れた腰がやきついていた。
この時から、ぼくは美映子さんを女性として意識し始めた。
あの、薄い水色のブラに覆われた美映子さんの胸を勝手に想像しながら、その日は美映子さんを思い浮かべ、自慰に及んだ。
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