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拙いながらに頑張りますので、読んでもらえたら嬉しいです!
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どれくらい時間が経っただろう。
あや姉が泣き止むまで、何度かサイレンの音が聞こえた。
遠いどこかでも、誰かが誰かに助けて欲しいって言ってるのかな。
「ん、ごめん…もう大丈夫」
「あ、うん……」
鼻声のあや姉が、ゆっくりと離れていく。
「へへ…まさか侑人の胸を借りる日が来るとは」
「うん…」
まだ熱いままのあや姉の手に自分の手を重ね、僕はぎゅっと力を込めた。
「いつでも、味方だから。
絶対、何があっても、僕はあや姉の味方だから」
「…うん、うん……ありがと…」
目の前のあや姉の顔は、涙とか汗とか鼻水でぐちゃぐちゃだったけど、ふにゃっと目尻を下げて笑った。
変わらない、あの可愛い笑い方だ。
この笑顔が見られるなら、僕は…僕は……
「侑人?」
「…好きだよ、あや姉」
僕は、あや姉の柔らかい唇にそっと口づけをした。
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ピピピ、ピピピ、ピピピ、ピピ…バンッ
うるさいなぁ…眠れてないんだよ。
乱暴に目覚まし時計を叩き、僕は再び布団に潜り込む。
目を閉じると、昨晩のことが思い出される。
「…っっ…うぐぐぐぅぅ……」
布団の中で悶える。
『…えっ…な、侑人…?』
あや姉の熱が唇越しに移り、僕までも頭の中が熱くなる。
『大好きだって、さっき言ったでしょ』
『それは…家族的なやつってことじゃ…』
『違う、そういうのじゃない。あや姉のこと、ずっと…』
『あーあー!!と、とにかく落ち着いて!
あ、あれだよ、私が急に泣いたりしたから、侑人、なんか変なスイッチ入っちゃったんだよ』
『だから違うって…』
『違わないよ。大体、いくつ離れてると思ってんの』
『…関係ないと思うんだけど』
『関係大ありです!
ほら!もう遅いんだから早く帰って寝なさい!』
あや姉に背中をぐいぐい押され、渋々部屋に戻ることになった。(今度は滑らずに無事帰還)
『あや姉、僕…本気で言ったからね』
『もうその話はおしまい!』
『勝手に終わらせないでよ!』
『…今日は、話聞いてくれて…本当ありがと。嬉しかった。
でも、そういう方向にいくのは違うから!
…ゆっくり寝て、忘れてください。おやすみ!』
『忘れるわけないじゃん!あや姉のこと好き…』
『おやすみっ!!』
ガランッ!!シャーッ!!
僕の言葉を遮るように、窓とカーテンが閉められた。
「あぁぁぁあ~」
ベッドの上をゴロンゴロンとのたうち回る。
「昔は好きだって言ったら喜んでくれたくせに…」
何年好きだと思ってるんだ。
一晩寝たくらいで、忘れられるわけないだろ。
ピロンッピロンッ
「だからうるさいって!」
バッとスマホを取ると、大学の友人からのLINEだった。
『おーい、今日も学校来ないの?
内定決まったからって単位落とすなよ(笑)』
ふん、もう卒業単位足りてるもんね。
大学より僕はあや姉のそばに…
「ん?」
続きの文章がある。
『ところで今晩ひま?
N女の子らと合コンするんだけど、急にひとり来れなくなって。
まじお願いっ!来てくんない!?』
つづく
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