グループ”女豹“を追え その3
今は何時頃だろうか。
俺は車から降ろされて道端に転がされた。
幸いにも通りがかった人に目のガムテープを剥がして貰い事なきを得た。
多分、ここは霞が関の官庁街にある路地裏だ。
奴らめ、舐めたことしやがる。
俺は自力で警〇庁へと急いだ。
庁舎に戻った俺は、先ずは特命課を目指した。
そしてドアを開けると杉山さんが、またまたお茶を、じょぼじょぼ注ぎながら笑顔で迎えてくれた?
「杉山さん、一体あれは何ですか?」
杉山「何とは?」
「だから・・・」
「だからあれですよ!」
杉山「あれじゃあ分かりませんねえ」
「いや、あの、その」
杉山「クラブ舞台での私の事ですか?」
「そう!、それっ・・・て? はっ?」
杉山「私はお誘いを受けて、あそこに行っただけですよ」
などと云う掛け合いが暫くありまして
「ええ? じゃああそこに俺が行ったのは犯罪捜査じゃなくて・・・」
杉山「誰が犯罪捜査だと云いました?」
「あっ、いや、それは、・・そういえば・・」
杉山「相変わらず、そそっかしいですねえ(まだ会って2日目)」
「はあぁ~~~」
「あっ! あ、あの、じゃあ何故俺はあそこに行かなければならなかったんです?」
杉山「それは官房長の御都合でしょう」
「官房長って?」
杉山「あっ、これは失礼」
「あなたには関係の無い事でしたね」
俺は頭に来た。
誰の都合だか知らないが俺は殺されそうになったんだ。
杉山「まさか、殺される訳がないでしょう」
って?
あんた、まさか俺の心が読めるの?
杉山「まっ、何はともあれ無事でよかったですね」
はあ~、もう疲れた。
一体俺はこの数日間何をやってたんだか。
俺は杉山さんにはっきりと言った。
「俺、一課に戻らせて貰います」
と言って部屋を出て行こうとすると
杉山「それは無理ですねえ」
と言われた。
「は?俺、今ヤマ追ってるんすよ」
「ころしのヤマ、ほら、あの政治家絡みの、商社のぶちょ・・・」
杉山「官房長直々の命令ですから」
って、おい、最後まで聞けよ!
「まっ、鈴木くん、 ここも慣れると良いもんですよ~」
と、最後に言われてしまった。
どうやら俺の帰る場所は、ここしか無いらしい。
俺は諦めて椅子に座った。
暫くして杉山さんが、何か語り掛けて来た。
杉山「そうそう、今晩もあのクラブに潜入して貰いますよ」
だと。
何~~~。
「あ、あの、杉山さん、俺、殺されそうになったん・・・」
杉山「あっ、もう先方には連絡が付いていますから」
やっぱ、最後まで聞いて貰えなかった。
俺は抵抗を諦めた。
つづく
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