グループ”女豹“を追え その15
その夜、俺と彼女は体力の続く限り、互いの身体を求め合った。
由紀「やっ、 くん・・・もっとぉ!」
彼女の、この細い身体の何処に、これ程までの性欲と持久力があるのか。
俺は彼女に付いて行くだけで精一杯だった。
彼女に求められるがままに、精力の全てを使い果たした。
一体、どれ程の精液を彼女に注ぎ込んだのか。
俺の睾丸が空になっても、彼女は俺を勃起させ繋がり続けた。
何だか、空が明るくなって来た。
隣に彼女は居ない。
彼女はシャワールームに居る様だ。
由紀「やっくん、おはよう」
彼女がバスローブを着て帰って来た。
由紀「ごめんね!」
「私、用が出来たので先に帰るから」
と言いながら帰り支度を始めた。
「由紀さん、・・」
俺は彼女と別れる事が寂しくもあり、嬉しくもあり複雑な気持ちであった。
由紀「支払いは全てこちらで済ませてあるから」
「ゆっくりしてって!」
「あっ、 あの・・・」
由紀「無理矢理、付き合わせちゃって、ごめんなさい」
「・・アイシテル!・・」
「由紀さん!」
由紀「あっ!そうそう」
「本当にありがとう」
「あっ、あと、これからもよろしくね!」
「それと、これからは、こちらの生理周期とにらめっこして最適なタイミン
「グで貴方に連絡をしますから」
「じゃ、また!」
彼女はドアを開けて、帰って行った。
はぁ~
俺はやっと眠れると思った。
とある日の朝。
あれから1週間が経った。
俺は暇さえあれば、ぼーっとしている。
何もやる気が出ない。
最近は、あの日の出来事が夢の様にさえ思えて来る。
杉山「鈴木くん、出掛けますよ」
「えっ? あっ、はい!」
そう、最近は杉山さんと出掛ける事が多い。
事件捜査だ。
だが、ただの捜査ではない。
他の部署の、他人のヤマに勝手に首を突っ込む職務規定違反ギリギリの捜査である。
杉山さんは、やる事なす事滅茶苦茶だ。
だがある意味、この手法こそが一つの理想なのかもしれない。
そして彼は仕事が出来た。
物凄い知識と洞察力である。
誰もが見逃していた小さな事実から、あっという間に難事件を解決してしまう。
俺はその仕事ぶりに舌を巻いた。
そんな、杉山さんに洗脳され掛かっている或る日、俺に連絡が入った。
クラブ舞台の由紀さんからだ。
杉山さんも一緒にと云う。
一体、何の用であろうか?
俺と杉山さんは車で銀座へと向かう。
クラブのビルの前に着くと、黒い服の男がやって来てもう一人の男に指示を出して車を別の場所へ廻す。
実に統率された動きだ。
俺と杉山さんは男の案内で彼女の部屋に通された。
由紀「ようこそ、お久しぶりです、杉山さん!」
「鈴木様もどうぞ!」
彼女が歓待してくれる。
杉山「こちらこそ、お久し振りです」
「相変わらず、お美しい」
「二人とも、顔見知りなんですか?」
由紀「ええ、嫌という程」
杉山「いつも、厳しいですねえ。橘さん」
由紀「彼は私を振った唯一の人」
「ええええ~~~??」
杉山「鈴木くん、もう、昔の話ですよ」
俺はこの人たちの底知れぬ存在感に驚愕した。
由紀「この人ったら、私の考える事の先回りをいっつもして!」
「本っ当に憎たらしい人!」
杉山「まあまあ、こう言ってはなんですが、そのお陰で貴女は理想のパートナー
を手に入れる事が出来た」
由紀「えっ? あ、ああ、まあ、そうなるかしら?」
「ホッ、オホホホホホ!」
彼女は何故か焦っていた。
まさか、俺が関わって居るのか?
杉山「まあ、それはそれとして」
「今日はどの様なご用件で?」
由紀「うふんっ、これは美味しい話だと思うわよ!」
彼女の持つ裏のネットワークに引っ掛かった情報らしい。
ある与党大物国会議員の政治資金収支報告書がらみのネタらしい。
由紀「あなた方の所では、ちょっと大き過ぎる案件かしら?」
杉山「いえいえ、情報は多ければ多い程有効活用出来ますから」
「ありがとうございます」
「ところで、何故今、この情報を私たちに提供なさる?」
由紀「杉山さんへの、ほんのお礼程度と云う事で」
「よろしいかしら?」
杉山「成程、分かりました」
「では鈴木くん、私は先に帰りますね」
「えっ? ええっ? 何が何やら?」
杉山さんは近くに顔を寄せて
杉山「彼女はメスカマキリです。ご用心を!」
由紀「杉山さ~ん、聞こえてるわよ~!」
俺には全容が見えない。
これから俺、どうなっちゃうの?
由紀「やっく~ん、今夜、空いてる?」
杉山さんは?
ええっ?帰っちゃった?
俺は杉山さんの推理で何とかして欲しかった。
終了します
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