グループ”女豹“を追え その10
「あ、いや~、どうしろって言われましてもこればっかり・・」
俺が言い掛けると
由紀「貴方、はっきりとしないわね~」
「じゃあ、私とSEXしたくないの?」
「いえ、ね、立場上的には私も一応は警〇官でして・・」
由紀「本音は?」
「こんな綺麗な女性となら、いつでもOKってな感じですかね」
由紀「なに?」
彼女は綺麗と云われて、ちょっと嬉しかったらしい。
口元に笑みを浮かべて
由紀「そう、なら決まりね」
「あちらがベッドルームよ!」
「いやいや、話はそう、簡単じゃあないんです」
由紀「何よ!?」
「警察官とグレーな組織のボスがくっ付いちゃうのは不味くありません?」
由紀「・・・・・」
「どうですかね?」
由紀「まっ、まあ、そうなるかしら?」
「ですよね~」
「なので、提案があるんですけど」
由紀「提案って?」
「私と貴女が個人的に知り合って」
由紀「知り合って?」
「プライベートな関係になれば何の問題も無いかと」
由紀「う~ん」
「まあ、確かに一理あるわね」
という事になって、俺と彼女は取り敢えずデートから始める事にした。
彼女にはジーンズとスニーカーを履いて貰い、俺は外へ出てタクシーを拾った。
彼女と俺は車に乗った。
由紀「一体、何処に行くつもり?」
「ははっ、 行けば分かります」
車は千葉へと向かう。
高速を飛ばして浦安ランプで降りた。
目指す目的地は
由紀「此処って?・・」
車を停めた場所は、あの東京ディ〇ニーランドの前であった。
俺と彼女は車を降りて、入口へと向かう。
由紀「これは・・ 一体何でこんな所へ?」
彼女の疑問をよそに、俺はすたすたと歩いて行く。
俺もこんな所は初めてだ。
だが、来てみると雰囲気は良いし結構素晴らしい。
平日のPM8時半だというのにまだ人がいっぱいだ。
何はともあれ、先ずは並ぶしかない。
何だかよく分からないが列に並んでみる。
由紀「ねえ、何でここに並ばなきゃいけないの?」
「そりゃあ、皆さん並んで居るからでしょ」
由紀「それはそうだけど」
「あっ、ほら!あの人達、何で先に入ったの?」
「さあ? 何か、そういうシステムなんじゃないかな?」
彼女はプンプンだ。
でも、その様子が可愛い。
銀座を支配する女とは到底思えない様な仕草である。
それにジーンズを履くとスタイルの良さがより際立ち目立ってしまう。
彼女の美貌と相まって、周りの男性からは羨望の的だ。
俺は、ちょっと誇らしかった。
そして、20分程待って俺達の順番が来た。
彼女は暫く仏頂面であったが、次第にはしゃぎ始めた。
由紀「ねえ?なにあれ!」
「変なの!」
「あれあれ、ねえ、見て!」
「あれ、どうなっているの?」
結構、楽しそうだ。
俺も何だか楽しくなって来た。
由紀「ねえねえ、次はあれが良いよ!」
最後は彼女に引っ張り廻された。
彼女は笑っている。
俺も笑った。
あっという間に時間が過ぎた。
もう閉園だ。
彼女は綺麗な夜景を見ながら、少し寂しそうな顔をした。
由紀「もっと早く来れば良かった」
俺と彼女は外へ出た。
もうPM10時前である。
「さ~て、どうしましょうか?」
「由紀さん、この後の予定は?」
由紀「別に、何もないわ」
「じゃあ、その辺で飯でも・・」
と言い掛けた俺に向かって彼女は
由紀「もう、帰るの面倒になっちゃった」
「何処かに泊まれる場所ないかな?」
俺は、ドキッとした。
いや、半分は期待していたのかもしれない。
だが期待などは無用だ。
すると彼女が
由紀「あそこでいいよ」
と指さした。
〇ィズニーの目の前にあるホテルだ。
「あ~、今からじゃ、無理かも」
由紀「大丈夫よ!」
彼女は先に行ってしまった。
仕方なく俺もついて行くと
「申し訳ございません。只今、満室でございます」
と云われてしまった。
ほらねっと俺が思っていると、彼女が名刺を出して支配人に伝えてと一言云う。
「大変失礼いたしました。どうぞこちらへ」
などと言って、支配人自ら先に立って、どう見ても一般人には縁の無い部屋に通された。
彼女は
由紀「ありがと!」
の一言だけである。
彼女の実力を垣間見た一瞬だった。
彼女は悠々とソファーに座って俺に言った。
由紀「どうしたの?」
「お座りになれば?」
俺は流石に観念した。
「すいません、貴女を試したりして」
「降参です」
由紀「何となくはね。」
「でも、キレなかったでしょ?」
「ふふっ、結構楽しかったわ!」
「じゃあ、お車呼びますから」
と言って俺が席を立とうとすると
由紀「えっ?、帰っちゃうの?」
彼女はソファーから少し起き上がって俺を見る
「いえ、貴女の方が」
由紀「・・・・・」
「わたし、帰らない」
「貴方とデートの約束をした」
「そして、それをちゃんと守った」
「いや、でも、そのね」
由紀「私をだましたの?」
「そんなことは無いです!」
由紀「じゃあ、責任とって!」
「せっ、責任?」
由紀「私と赤ちゃんを作って!」
「ほっ、本気なんですか?」
由紀「冗談で女がこんな事云う?」
彼女は眼に涙を溜め始めた。
怒った顔で俺を一直線に見つめて来る。
そこには銀座の裏を仕切る女の姿は無かった。
つづく
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