その49
食卓に並んだ料理を前に、まずはシャンパンで乾杯となった。
何に乾杯しようか考えていると鈴谷さんが「3人の出会いと出発に乾杯!」と言い、谷崎さんは「恵子ちゃんが女になった日に!」と言った。鈴谷さんが「いやだ、明美さん」と笑って「木田さんは、どうします?」と聞かれ、色んな初アナルに!と言うと、2人からブーイングを買った。
その日の夜は、料理やスイーツを食べ終え、ゆっくりと時間が流れていった。
谷崎さんと鈴谷さんが食事の後片付けをしている姿を見ると、姉妹のようにも親子のようにも見え、私は亡き妻と娘の姿が重なり、懐かしい気持ちになった。
片付け終えると、鈴谷さんが終電で帰ると言った。私と谷崎さんに気を使っているのが判り、谷崎さんが「3人で朝まで寝ようよ。木田さん、構わないよね?」と言うと、鈴谷さんが「本当にいいんですか?私も木田さんの事を好きになっちゃいますよ?」と谷崎に言った。
谷崎さんは、「それは駄目だけど、私の前だけなら木田さんを好きになってもいいよ」と言い、「だから、3人で一緒に居ようね」と言った。
それを聞いた鈴谷さんは泣きながら頭を何度も下げた。
今日の鈴谷さん泣きすぎだよと私が笑うと、谷崎さんに「いつも、すぐ泣くから大丈夫よ」と揶揄われた鈴谷さんが「またさっきのソファみたいに2人で意地悪するんですね」と言った。 つづく
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