《44》
『良く来てくれたね。嬉しいよ。お腹空いてない?何か食べに行こうよ』
「空いてますけど、いりません。」
『どうして?』
「私、汚い格好してるし、お風呂にも入ってないから臭いも有るだろうし。」
『じゃぁ、ホテルでお風呂に入ってルームサービス頼もう。』
「ホテルはちょっと・・・・」
『ビジネスホテルのシングルを取るから、大丈夫だよ。』
「お金無いし、良いです。」
『お金の心配しなくても良いよ。』
「ダメですよ。返せるものが私は何も無い。」
『う~ん。じゃぁさ。今日はホテルに泊まって。明日、俺の部屋の掃除してよ。』
「それなら、俺さんの部屋に泊まらせて下さい。ホテルなんてお金もったいない。」
『それで良いの?襲っちゃうかもしれないよ?w』
「・・・・・・・・」
『ゴメン。冗談。』
「・・・・」
『どうする?ホテル行く?』
「・・・・いえ、ホテルはもったいないんで・・・・・お部屋へ・・・お願いします」
『分かった、行こうか。』
下ネタ駄目かぁw
気まずいw
部屋に行き、取り敢えずシャワーを浴びさせた。
浴びてる間にコンビニで弁当とパンと飲み物を買って来た。
部屋に戻るとシャワーから出ていた。
着替えも無いので俺のスエットを貸した。
ブカブカw
買ってきた弁当を食べさせた。
「この部屋の何処を掃除するんですか?」
『適当に頼むよ。」
相変わらず何も無い部屋。
掃除をする所なんて無い。
『大阪はどう?』
「避難所から仮設住宅に移動が始まって、だいたい皆さん入りました」
『それなら、プライバシーもある程度守れるね。』
『そうでもないですね。直接見られないってだけで、隣の話し声は普通に聞こえるし。」
『そうなんだ。美穂ちゃんだっけ?誰かと一緒に仮設住宅に入ったの?』
「おばあちゃんと一緒に仮設住宅に入ったんだけど・・・・」
泣き出してしまった。
辛い事が多いんだろうな。
手を広げたら抱きついて胸で泣いてた。
「ゴメンなさい。」
『あの時も言ったけど、こんな胸で良かったらいつでも貸すよ。』
「ありがとうございます。」
『辛かったら話さなくても良いよ。』
「いえ。聞いてください。」
『うん』
「仮設住宅に引っ越してすぐにおばあちゃんも亡くなったの。」
『そうなんだ。』
「うん、それで私はひとりぼっちになっちゃって、寂しくて俺さんの写真ばかり見てたら、会いたくなって来ちゃいました。」
『大変だったでしょ?』
「女の子だとバレると襲われそうだから、男の子っぽい格好したりでしたけど、大変じゃなかった。俺さんに会えれば、それで良かったから。」
『そうか。ありがとね。報われた?』
「はい。」
大変じゃ無かった訳がない。
何日も俺を探して、歩き回ったに違いない。
そうじゃ無ければ、あんなに泣くものか?
『今日は安心して眠りな。俺が隣に居るから。』
「はい。お布団有りますか?」
『有るけど、ベットで寝れば良いよ。』
「ダメですよ。」
『良いから。俺は男だからカッコ付けたいのwカッコ付けさせて。』
「分かりました。」
『寝るまで見てるから、おやすみなさい。』
「恥ずかしいですねw」
『ゆっくりおやすみ。』
「はい。おやすみなさい。」
よほど疲れていたんだろ、すぐに寝たようだ。
朝起きて着替えていたら、彼女も起きたようだ。
『おはよう』
「おはようございます」
『パンを買ってあるから食べよう。』
「ありがとうござます。」
食べながら
『今日は美穂ちゃんの服を買いに行こうか』
「なんでです?」
『見た所、他に荷物も無いし、着替えも持って無いんじゃない?』
「駅のコインロッカーに多少は有ります。」
『そうなんだ。それじゃぁ荷物取りに行ってから足りない物を買いに行こう。』
「いいですよ。お金使うなんてもったいないです。」
『大丈夫だから、行こうよ。』
「強引ですねw」
『ゴメン。俺の趣味を押し付けることになるw』
「なんか怖いですねw」
駅のコインロッカーで荷物を取り、洗濯物をクリーニングに出して、買い物に出掛けた。
何着か服を買い、下着も買った。
売り場には1人で行ってもらったがw
遅めの昼メシを一緒に食べて、彼女が行きたいと言うので事務所に顔を出した。
彼女がお礼を言ってすぐに出た。
長居は無用だw
『じゃぁ仕事行ってくるから、掃除よろしくね。』
「昨日も言ったけど、この部屋の何処を掃除するんですか?」
『昨日も言ったけど、適当に頼むよw』
「わかりました。」
『頼むねw』
「あ、そう言えば。」
『ん?』
「探したんですよ。田舎市にナントカってお店無いし。」
『あ、、お店の名前変わったんだよ。』
「言って下さいよね~」
『どうやってw』
「テレパシー?w」
『禁断の?』
「ちょっと古いかなw」
ヤバい。
楽しい。
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