《43》
美樹が店を辞め、約束通り美紅と別れた。
店以外の穴は美紅と仁美だけだったので、捨て難かった。
ましてや、美紅はタイプの穴だったしw
3月になりママさんから
「店の名前を変えます。売り上げは変わらないけど、上がっていない。現状維持では先は無いので、名前を変えて新たにスタートします。」
と、言われた。
サービス内容や料金体系は今のまま維持されるそうだ。
売り上げが改善されなかったら、サービス内容が変わるかもしれない。
最近のその他の店は過激になりつつ有る。
ボンテージの店や水着の店も出てきた。
トップレスやノーパンの店が出てくるのも時間の問題だろう。
昔、ノーパン喫茶とか流行ったらしいし。
ノーパンとかなったら借金組以外は何人残るのだろう。
借金組の加奈子と綾と結衣、以外は終わって、店を辞めている。
紗江は金額が少なかったので一番最初に抜けた。
追加はされているので、借金組は7人になってる。
借金組は手を出さなくても休めないので、残っている初期組以外、穴は増やさなかった。
これ以上はムリw
4月の新年度から店の名前を変えて新たにオープンした。
内装や女の子は今まで通りなので、内情は何も変わらない。
リーダーが千尋に変わったばかりでコレだったので落ち込んでいた。
慰めるのが大変だったが、なんとかなった。
6月になり、梅雨が始まった。
梅雨時期は客足が落ちる。
これは仕方がない。
店の子も電話を掛けて客を来させようとしているが、上手く行かないようだ。
この頃、初めて携帯電話を持つ事になった。
初期費用だけで9万円程度掛かった。
維持費も月に数万円。
かなりの出費だったが、ママさんからの命令だったので仕方なかった。
いつでも連絡が付くようにとの事だった。
ベルだと、穴とヤってると返すのが次の日とか当たり前になってたw
梅雨が明けた7月の中頃。
閉店後、看板を片付けていた時、後ろから急に抱きつかれた。
恨みを持った穴に刺されたと本気で思ったw
『うをぉ?なんだ?』
「やっと見つけたー」
『え?だれ??』
振り返ったら抱きつかれ泣き始めた。
ぉぃぉぃ
店の前でマズイよw
取り敢えず、路地に連れ込んだ。
『だれ?』
泣き止まない。
困ったな~
店の片付けも終わってないし。
今日は結衣の日なんだけどなぁ。
まだ泣き止まない。
取り敢えず誰だよ。
顔を見ても泣き顔なので分からない。
まいったなぁ
人違いなんじゃ無いの~
ホントに俺か?
まだ泣き止まない。
ママさんが
「俺くーん。どこ~?」
ヤバいかな?
返事しないと怪しまれるよなぁ
『は~い。こっちです~。』
「何やってるの?」
『あ、いやぁ、誤解しないでください。』
「この状況の何が誤解なの?w」
『いやぁ、そう言われましても。』
「お盛んなのはいいけど、節操を持ってねw」
『勘弁してくださいよ。俺にも分からないんですから。』
「そう言う事にしておくわw」
『ちょ、ちょっと~助けて下さいよ~』
笑いながら店に戻って行った。
まいったな。
まだ泣き止まない。
困ったなぁ。
誰なんだよ。
若そうな感じだけど。
まだ泣き止まない。
良く見ると小汚い。
格好もボーイッシュだ。
声も鳴き声も女の子だけど。
お?泣き止んだかな?
「ごめんなさい。」
『別に良いけど、だれ?』
「美穂です。」
美穂?知らないぞ?
『俺で合ってる?』
「俺さんです。いつでも胸は貸すって言ったじゃないですか。」
ん?なんだっけ?
どこかで言った様な気が・・・・
『何処の美穂ちゃん?』
「大阪の美穂です。」
大阪の美穂みほミホ・・・・解らんw
『ゴメン。解らない。人違いじゃ無いんだよね?』
「俺さんで合ってます。ずーっと探してました。」
『俺を探してたの?顔見せてくれる?』
「汚いから恥ずかしい。」
『ゴメン、でも解らないし。』
「・・・・はい。」
顔を見てもすぐに思い出せない。
汚れてはいるが、かわいいw
でも、見覚えある?
若いな。
高校生くらいか?
ん?
高校生くらいで
大阪?
あれ?
まさか?
『あれ?避難所にいた?』
「そうです!俺さんを探してました。」
『会いに来てくれたんだ。』
「そうです!」
『そうなんだ。ありがとう。嬉しいよ。』
また泣き出した。
『ちょっとココでまってて。仕事を終わらせて来るから。動いちゃダメだよ。』
「ぶぁい」
ハンカチを渡して店に戻った。
片付けを終わらせて、結衣に謝って店を出た。
結衣が不貞腐れてたw
後でフォローしなきゃw
路地に戻ると美穂が居ない。
ウソだろ。
こんな夜中に。
しばらく掛かったが、辺りを探すと男に連れて行かれてた。
『ちょっと、その子うちの子なんだけど。』
「そうなの?」
「俺さ~ん。」
『待ってろって言ったじゃん』
「ゴメンなさい。俺さんの所に連れてってくれるって言うから。」
『ほぅ』
「なんだよ。バレちゃったかぁ」
『お前、顔覚えたからな。』
「だから何だよ!」
『俺の顔も覚えとけ!後でケジメ付けに行くからな!』
「どうした?揉め事か?」
避難所で一緒に巡回した人だった。
『コイツがこの娘を連れ去ろうとしたんですよ。』
「ほう。・・・・あれ?あの時の子じゃない?」
『そうです。会いに来てくれたんです。』
「ほほぅ。そうか。じゃぁ、コイツはこっちで処理しとくわ。」
『お願いしても良いですか?』
「おぅ。得意分野だしw」
『お願いします。』
「お嬢ちゃん、おじさんの所にも遊びに来てねw」
「はい」
『それじゃぁ失礼します。』
この格好で一度しか会った事のない娘に全く違う土地で急に会ったのに思い出せるんだ。
あの人スゴイな。
俺なんかまだまだだな。
てか、この娘の名前聴いてあったかな?w
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