《37》
それから1カ月くらい静香と2人で会う事は無かった。
寒くなる頃
「今日の夜会えないかな?」
『うん、良いよ。』
「俺君のアパート行きたいけど良いかな?」
『もちろん。待ってるよ。』
やっぱり家を教えるとこうなるのか
先にアパートに帰り待ってると、静香が来た。
『いらっしゃい。』
「お邪魔します。」
『久しぶりに2人で会えたね。』
「そうね。ここに来るのも久しぶり。」
『今日はどうしたの?』
「うん・・・・実はね・・・・」
『どうした?』
「怒らないで聞いてね」
『分かった。なに?』
「龍二君の事なんだけど、初めてお店に来て以来ずっと口説かれてたの」
『そうなの?』
「うん、私は俺君の彼女だから無理ってずっと言ってたの」
『そうなんだ。』
龍二。
悪い
俺の勝ちだ。
「それでね。最近は龍二君が気になって来ちゃって、私の気持ちが自分でもわからないの。」
『うん』
「私は俺君が本当に好きなの。でもね龍二君もほっとけないの。」
『うん』
「私はどうしたら良いかな?」
『自分を信じてあげれば良いよ。』
「俺君はそれで私が龍二君に行ってもいいの?」
『それを決めるのは俺じゃ無いよ。』
「それでもいいの?」
『良くは無いけど、それが静香が出した答えなら、俺が言う事じゃないよ』
「・・・・もういい・・・・」
『うん』
「私、龍二君と付き合う事にする」
『うん』
「さようならだね」
『うん』
「・・・・」
『・・・・』
「引き止めてもくれないのね」
『・・・・そうだね』
「それじゃ・・・・帰るね。」
『うん』
「最後のキスも出来ないね」
『うん・・・・そうだね』
「さようなら」
『うん。今までありがとう』
龍二。
俺の負けだ。
次の日に龍二から電話が有って謝られたが、殆ど聞いてなかった。
まだ、静香とはヤってはいないそうだ。
少しだけ救われた?
一カ月も経つのに洗って伏せたままになっている鍋と茶碗をその日捨てた。
沢山ある穴の1つが無くなっただけだと思っていた。
が、そうじゃ無かった。
女として見ると俺の前から消えて行く。
俺は女を手に入れる事は出来ないのか?
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