3週間が過ぎた。由実さんは妊娠の兆候は無いという。麻衣さんは来週から産休に入ると予定だ。
「ねえ、今夜遊びに行っていい?」朝の会議の席で由実さんが言った。俺は週末はノンちゃん先生宅に出かける予定だった。
「いいけど、姉さん」麻衣さんも急な由実さんの訪問に何かあるのかと感じたようだ。
「それじゃ8時に、食事は済ませて行くから」美雪さんはつわりがひどいらしくこの日は休んでいた。
「ねえ、姉さん、何の話しかな?」夕食を終えて後かたずけを二人でしていると麻衣さんが聞いてきた
「う~ん、やっぱ赤ちゃんのことかな」
「そうよね、今回はまだみたいだけど、次にはなんとか」
「そうだね」チャイムが鳴った
「いらっしゃい」俺が迎えに出た
「お迎えのキスは無しだよね」
「まあ」俺は視線を逸らした。
「姉さんいらっしゃい」
リビングでお茶を飲みながら本題に入った
「あのね、今回結果が出なかったでしょ、それで周りの人たちもなんだか気を使ってくれてるような気がしちゃって」由実さんが切り出した。
「残念だったけど、そのまだ諦めていないんでしょ」麻衣さんも真剣だ
「まだ諦めていないよ、来週ね、ノンちゃん先生がまたスケジュール開けてくれてるんだけど、今度は大勢に来てもらおうと計画してるらしいの」俺を麻衣さんは顔を見合わせた
「あたしを囲む会を開催するって」
「それって、俺とかも参加していいってこと?」俺は身を乗り出した。
「ノンったら、すごいやる気!」麻衣さんが笑いながら言った
「へへ~」俺も頭をかいた
「もちろんノンには参加してもらうよ、あたしね、女の子が欲しいの。ほらまだ赤ちゃんから子供を育てた事ないでしょ、だから女の子なら大丈夫かなって」由実さんの本音が聞けた気がした。
「ノンちゃん先生曰く、ノンは男の子が出来る可能性が高いって、それにノンちゃん先生は女の子しかできないみたいだし」確かに俺は貴之と麻衣さんのお腹の中の子も男の子とわかっている。それに比べノンちゃん先生は5人とも女の子だ。
「ねえ、姉さん、名前とか考えてあるの?家はまだだけど」麻衣さんはほうじ茶を飲みながら微笑んだ
「そうね、女の子なら、平仮名で、きょうこ」にしようと思ってる
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