ホテルを出て20分、俺たちは「さくら祭り」の会場に着いた。
「ねえ、あそこ見て、すごい一面ピンク」公営の駐車に車を停めると、みなみ先生が麻衣さんの手を引いて窓の外を指さした
「うわ~すご~い」麻衣さんも声を上げた
「シャトルバスに乗って丘の上まで行くんだって」みゆうさんが看板を見つけた
「歩くと20分らしいけど、妊婦さんもいるからバスにしよう」由実さんと俺がバスの列に並んだ。すぐにバスに乗れて出発した。
「うわ~すご~い」みゆうさんが楽しそうに言った
「初めてかしら?」老夫婦の奥さんが話しかけてきた。
「ええ、そうです~」
「今日は満開で、晴れだから富士山も綺麗よ~」
「そうなんですか~、楽しみ~」25歳の若妻の笑顔が老夫婦には微笑ましく思えたのか、おだやかにうなずいていた。
丘の中腹に祭り会場があった。数百本の河津桜が満開になっていた
「すご~い」
「綺麗~」完成を上げる4人を周りの人々は楽しそうに見つめていた。バスから降りるとそこは、家族連れやカップルでごった返していた。
「綺麗ね~」みなみ先生が俺の手を握った
「ほんと」麻衣さんが反対側の手を握る
「ちょっと、ふたりとも、周りの目気にしな過ぎ」みゆうさんが後ろから注意してきた
「ああ、ごめん」ふたりは手を離した。確かに、二人の女性に手をつながれる状況はめったにありえない。
「ねえ、写真撮ろうよ」由実さんが言うと
「撮りましょうか」先ほどの老夫婦の夫が声をかけてくれた
「ありがとうございます」由実さんはスマホを渡して、5人で桜と富士山をバックに写真を撮った。俺はすぐにその写真をノンちゃん先生に送信した
1時間ほど散策して、俺たちは帰路に就いた。
「わたし運転するね、ノンくんは後ろで、お姉ちゃん助手席ね」その笑顔に意味があるとは俺は知る由もなかった
「綺麗だったね~」
「ノンちゃんもこれたらよかったのに」後部座席で由実さんと麻衣さんが話しながら、スマホで撮影した画像を見ていた
「満開の桜を見ると気持ちが昂るよね」最後尾に座る俺を二人が同時に見た
「はい?」嫌な予感がした
「ノン」ふたりは最後尾に移動してきた
「ごゆっくり」みなみ先生がカーテンを閉めた
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