「暖房つけてるけど、後ろのほう寒くない」ノンちゃん先生が問いかけた。由実さんはすでにひざ掛けをかけている。
「みゆう、妊婦さんたちにひざ掛けを渡してあげて」
「お兄ちゃん、妊婦さんたちって言っちゃってる」みゆうさんが楽しそうにいった。短いスカートからこぼれる太ももに俺は見つめていた。
「ごめん、今のは無しで」
「いいじゃない、麻衣、驚かないでしょ、昨日美雪ちゃんからも報告あったし」由実さんが後ろを振り返った
「そうなんですか」みなみ先生が恥ずかしそうに言った
「そう、朝のミーティングの時、赤ちゃんできたって」麻衣さんがあっけらかんと言ったのでみなみ先生もほっとしたようだ
「よかったね、お姉ちゃん。まさかお兄ちゃんがうっかり口を滑らすとはね」
「ごめん、ごめん」ノンちゃん先生が謝っている時にみゆうさんが俺に耳打ちした
「お兄ちゃんドSだから」
「おめでとう、みなみさん」俺が言うと、皆が口をそろえておめでとうと言った
「ありがとう、ノンくん、みんな、いつ告白しようとなやんでたけど、すんなり報告出来て良かった」さすが実の弟、姉の性格をわかっていたのだ。ひざ掛けがくばられ、最後部の俺とみゆうさんは1枚のひざ掛けをいっしょにかけた
「お兄ちゃん、もう由実さんにいたずらしてるよ、由実さんのこと大好きみたい」みゆうさんが俺に耳打ちしてきた。前方に目を向けるとノンちゃん先生の右手が由実さんのひざ掛けの中に忍び込んでいた
「お兄ちゃんね、いつも車で出かける時は、助手席の女の子にいたずるするの、ねえ、ノンくんわたしにもいたずらして」
「えっ」俺はみゆうさんを見た。二人の顔の距離は20センチしかない。
「わたし、お兄ちゃん以外の男の人、初めてなの」耳元で甘く囁くみゆうさん、前の席の妊婦さんたちは楽しそうに談笑している。最前列の由実さんは何かに耐えているようだ。ノンちゃん先生の右手は由実さんのひざ掛けの中で蠢いているようだった
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