「彼のやり方ってほんと不器用なのよね~、わたしだったら絶対現金で渡すわ、ちょっと聞いてる」美雪さんが俺の目の前で手を振った
「あ、すいません」俺は現実に舞い戻った
「現金だと違うんですか?」
「そうよ、だって、税金取られちゃうから、後で目減りしちゃうよ。それに確定申告にも行かなくちゃならないし。来年の3月までだから時間はあるけど、わたしがついて行ってもいいけど」
「はあ」さすがに俺の理解を超えていた。
「彼はエンジニア出身だから、経営的なことは苦手なのよね」さすが高学歴、美しさも伴っているなんて、罪だ!
「でも、多すぎませんか?」
「慰謝料も含んでいるから、妥当だと思うわ」
「そう、ですか」
「ただ一つ言えるのは、彼に悪気はないってことだけ理解してあげて、全てをあなたに晒しているわ。何かあったら彼の地位も財産も失ってしまうわ。そのリスクを抱えながらもあなたに会って正直に話したかったのよ」
「はい、それはなんとなくわかります」
「ありがとう」美雪さんは俺の手を握った
「これから、あなたは色々とお金が必要になると思うの、例えば、さやかちゃんが大学に行きたいと言った場合、由実さんが妊娠して赤ちゃんを産みたいって言った場合、麻衣さんにも同じことが言えるわよ」
「はあ」俺もなんとなくひっかかってはいた。これからも彼女たちの人生にかかわっていくはずだ
「あなたは優しくて、責任感があるから、彼女たちが子供を産みたいと言ったら拒めないはず」
「はい」
「その時まで取っておく必要があると思うの」
「ごもっともです」
「やっぱり~」
「えっ」
「さすがノンくん、そこまで考えてあげてたのね」
「もしかして、試した?」
「うん、そう」美雪さんは微笑んだ
「安心したは、もしわたしが離婚して、あなたに一緒に住んでって言ったら、住んでくれるのね」
「それはどうだろ~」
「あ~ひど~い」美雪さんは俺にじゃれついた
「ノンくん、そういうとこ大好き」美雪さんが俺の瞳を見つめそしてキスをした
※元投稿はこちら >>