マリアが泣き止んだのは20分後くらいだった。
泣き止んだ後は散々説教を喰らった。
と言うか、『バカ』『○んじゃえ』『○ね』の三段活用が多めに含まれた言葉の暴力で、相手がマリアじゃなければ、俺のHPはゼロになっていたのではないかと思えるほど怒られた。
マリアのお説教が終わり、落ち着きを取り戻したのを確認したので
「そろそろ帰るか?」
と水を向けると、マリアは
「うん」
と頷く、それを見て俺が立ち上がろうとすると、突然右腕が引っ張られ俺はバランスを崩してベンチに座り込んだ。
俺がベンチに腰を落とした瞬間、右の頬に柔らかい感触があった。
マリアが俺の頬にキスをしてきたのだ。
俺がびっくりして固まっていると
「お礼、だか…ら。私のファーストキスなんだから、ありがたく思いなさい」
と、マリアが顔を真っ赤にしながら言う。
『王道のツンデレ来た!コレ!』
とかアホな考えをしつつ、普段のマリアとのギャップにまだ固まっていると、更に
「あ、ありがとね…」
と小さな声で言ってくる。
『ナニこの可愛い生き物?抱き締めてもいいですか?』
再度やって来るアホな思考を押さえつつ、俺は立ち上がり
「帰ろう」
マリアに手を伸ばす、マリアは俺の手を取って立ち上がり、これまでに見たことのないような満面の笑みを浮かべた。
家まで送ると言う俺の言葉を最初は了解せずに、逆に自分が送ると言い張るマリアだったが、ストーカー先輩がまだその辺にいるかもしれないからと説き伏せ、俺が送ることを了承させる。
特に何事もなくマリアの自宅の前まで来たところで、背後から
「お姉ちゃん…と、…あ、ゆう兄だ~」
マリアの妹でS6のアンナだった。
アンナはマリアがSの頃と見た目はそっくりである。
違いと言えば長い髪をツインテールにしているところだろう。
マリアと同じ顔のS6、つまり超美少女ということだ。
美少女の金髪ツインテールとかロリ好きにはたまらんだろうな…。
性格は姉とは違い、甘えん坊の妹キャラで、小悪魔タイプだ。
何故か真吾よりも、美和よりも、自分の姉よりも俺に懷いていて俺と会うとスキンシップ多めの傾向がある。
このときもいきなり俺の腕に抱きついて来た。
他のS学生とは違い、既にCはあるであろう膨らみが腕に当たる
「ゆう兄、遊びに来たの?」
「アンナ、ゆうたは私を送ってくれたの。アンタと遊びに来たんじゃないよ」
「何で?あ、ゆう兄、お姉ちゃんと付き合ってるの?」
更に腕を力を込めてくるので、腕には幸せの感触が…
「え?ち、違うぞ。たまたまだ、たまたま…」
平静を装い返答する俺
「アンナ!アンタは家に入っててッ。ゆうたと話があるから!」
「は~い。お姉ちゃん、今日こわいよ。ゆう兄、今度は遊んでね」
「おぉ、今度な」
軽く一騒動起こしたアンナは、俺の腕を解放し、玄関に向かって走り、ドアを開け家に入って行った。
アンナが家に入るのを見届けてマリアが俺に向き合う
「ゴメンね。アンナが…」
「いや、いいよ。それにしてもアンナの見た目は、Sの頃のマリアにそっくりだよな。」
「そうかな?」
「そうだよ。美人姉妹って言うのはお前達みたいな姉妹のことを言うんだろうな」
「え?び、びじん…」
マリアが真っ赤になって固まっていた。
俺は大人になって(今はC坊だが…)から、つい思ったことを口に出す癖がついたらしい。今日は失言ばかりだ。
「あ~気にしないで!今のは忘れてくれ。今日は帰るけど、何かあったらまた言えよ。そんときは自分の安全第一で助けるから」
マリアもハッとして
「うん。今日はありがとう。気をつけてね」
「じゃあな(ね)」
と互いに手を振って、マリアの家を後にして自宅へと向かった。
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