「お勘定」
最後の客が爪楊枝をしがみながら出ていった 裕美子を視姦しながら果てていた十三も、満足したのか、あれからすぐに帰っていた
驚くことに、十三の自慰には自分以外、誰も気付いていなかった 今まで、余程上手く隠して行為に及んでいたのだろう… 十三は侮れない、そう感じていた
翌日のうどんの仕込みを終えた秀之が、小部屋から出てきた
「まだまだ仕事が山積みだから、悪いが片付けは二人で頼む」
「はい、貴方 お疲れ様」
店の片付けを済ませ、カウンターで一息付ける この辺りの夜は早く、時刻はまだ九時を回ったばかりだ
ガラリ、とアルミサッシが開く音がした
「すみません、もう終わりで…」
「あら、うちの旦那、もう帰った?」
先程の客のうち、誰かの妻が迎えに来たのだろう、四十半ばの中年女性が、ずかずかと入ってきた 風呂上がりなのか、薄い木綿生地のパジャマ姿で パーマの取れかかった髪は濡れていた
「あら、裕美子ちゃん この子、誰?」
上から下まで舐めるような視線を自分に向けている 中肉中背、典型的なオバサン体型だったが 妙に艶が有る身体つきだ 豊満な胸元は、パジャマにパチンコ玉大の突起を見せている 彼女は上半身に下着を着けていなかった
「あら、千代子さん、重さんなら一時間位前に帰られましたよ?」
「まったく、じゃ、今頃は麓のスナックかしらねぇ」
裕美子は自分を千代子に紹介しながら、駐車場まで千代子を送っている
「あの子、若い頃のヒデちゃんにちょっと似てるわね…いい男に囲まれて、裕美子ちゃん 良いわねぇ」
車に乗り込む直前まで、ねっとりとした視線を自分に向けていた
「さ、遅くならないうちにお風呂入って?」
裕美子に促され、1日の汗を流す
十三が自慰していたことは、二人には言えなかった 先程の十三と昨日ここで自慰していた自分が、重なっていた 人間など一皮剥けば、皆 十三と変わらないのかも知れない… そんなことを考えていた
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