夕暮れ刻に一雨降ったからだろうか、夏の夜にしては涼しかった 裕美子は八畳程の部屋の隅に蚊取り線香を焚き、古めかしいが良く艶の出た、南部箪笥の上に飾って有った写真立てを伏せる
「なんだか気になっちゃって」
写真を良く見てはいないが、秀之が写っているのだろう
「今日は忙しなかったでしょう?タカちゃん、有り難うね…おやすみなさい」
灯りを豆球の薄暗い橙色に落とし、洗いざらしのタオルケットにくるまった
「おやすみなさい…」
(寝れる訳無いってば!)
じっと眼を閉じて、寝ようとすればするほど、頭は冴え 衣擦れや線香の灰がポトリと落ちる音さえ、鮮明に聴こえる
気付かれぬように、ゆっくり ゆっくりと半身を起こし、傍らで寝ている裕美子の顔をそっと覗き込む
すう、と寝息を立てている 裕美子の鼻息の生暖かさが艶かしい
その時、薄く開いた瞼の奥の瞳が自分を捕らえ ヒク、と唇が開いた
「タカちゃん、いいのよ?」
一瞬で頭に血が上り 裕美子の唇に貪りついた タオルケットを剥ぎ取ると、浴衣は既にはだけ、豊かな乳房が豆球の橙色に染まった
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