妖の瞳が、自分を捕らえている
息遣いは忙しなく、これから眼前で起きるであろう光景を思い浮かべ、ねっとりとした視線を自分に向けていた
肩口を押さえ付けられた自分もまた、欲していた いつの間にか、彼と彼女の棲む深淵に足を踏み入れていたのだ
「出るぅ」
捕らえた者と、捕らえられた者が 一筋の液体で繋がった
彼女の中心部から止めどなく噴き出す尿 彼女は目を見開き、この世の者とは思えない程の笑みを浮かべながら、その光景を堪能している
妖の瞳を見つめながら、彼女の迸りを受け止める 髪、目、鼻、口内 全てが彼女の尿にまみれる 気が付けば、萎縮していた陰茎が最高に勃起していた
もっと もっと
彼女と自分の欲望が重なった瞬間、射精の数倍の快感が脳内に雪崩れ込んできた きっと、彼女も同じ快感を脳内に感じている筈だ
「変態…変態…」
彼女が恍惚の表情で呟いている 自分に向けてか、はたまた彼女自身に対してなのか
或いはその両方なのか
彼女の体温を身体、顔中で感じ、自分もまた恍惚の表情だったに違いない 彼女の足を掴み、顔面に足裏を自ら押し付けた
もっと もっとだよ
「ちょっと休憩するか、タバコ吸おう」
空間の支配者である彼が言う
「二人でシャワー浴びて、休憩しよう」
彼は機材をバスルームから撤収し、バスルームの扉を閉めた
「臭い、おしっこ臭い」
先程の狂った妖の瞳から、少し正気が戻った彼女にシャワーをかける
「あったかい」
彼女は一方向から固定したシャワーの下で、おどけるようにクルクルと回りながら微笑んだ
バスローブを纏い、ベッドにちょこんと座る彼女 対面には彼がソファーに腰掛けている
タバコをふかしながら、自分に問いかけてきた
「今八時半だけど、どうする?」
急に現実が頭の中を駆け巡る そろそろ帰らないと妻に怪しまれてしまう、か? 彼が用意してくれたスポーツドリンクを一気に飲み干す
「すみません、今日はこれで」
「うん、そう、じゃあ出るか」
彼女の方を振り返ってみると、彼の言葉を即座に理解し、既に帰り支度をしていた 支度と言ってもまた全裸にコートなのだが
彼女の瞳は、また彼だけを視界に入れていた
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