※日野の名前を、最初の人物紹介の時に「松野」と間違えてしまいました(><)
失礼しました。
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「はい、そこまで!後ろから回収~」
チャイムとともにガヤガヤとみんなが動き出す。
(ぜ、全然分からんかった…)
ガクッと項垂れる紫乃。
(小テストって言うから大したことないと思ってたのに…真緒、ごめんよ~)
はぁ~とため息がでる。
「お、おい」
日野くんが何やらモジモジと声をかけてくる。
しかし紫乃の頭の中では追試の心配が渦巻いていた。
「…なに?」
「あ、き、昨日…急いでたら階段から落ちたんだろ。それって、よっぽど試合見たかったってことかな~って。俺はどうでも良いんだけど、そんなに試合見たいなら来週末にまた練習試合あるし…あっ、何なら普段の練習でも試合形式でやるから…ちなみに今日の練習は19時までやってるから…まぁ俺はどっちでも良いんだけど、お前がそんなに見たいって言うなら…(早口)」
「翔太。菊川、もういないぞ」
「え!?あ、あれ…」
「…お前、もっと素直になった方がいいぞ」
「べ、別に俺はどっちでもいいんだけどさぁ!」
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「さっきの小テスト難しかったねー」
「だ、だよねだよねー!めっちゃ難しかったよね!?」
「8割くらいしか解けなかったぁ」
「私も今回は満点キツいかな~」
「は、ちわり…まんてん…」
頭がクラクラしてくる。
それはさておき、ふたりには聞きたいことがある。
「あのさ、わ、私の好きな人のことなんだけどさ…」
「うんうん!」
「何かあったの?」
杏奈ちゃんと栞ちゃんは、待ってましたと言わんばかりに目を輝かせる。
「あ、いや~ど、どんな人だと、思う?」
「え?」
「いや、その、これまで私の話聞いてて、ふたりはどんな印象を持ったかなーって」
「あ~、まぁ…なかなか難しそうな相手ではあるよね」
「結構年上だし、巨乳好きなんでしょ?笑」
巨乳好きの年上…本当に日野くんじゃないんだ。
てっきり、照れ隠しだと思ってたけど。
「ずいぶん付き合いは長いけど…」
「歳の離れた妹みたいな扱いで…」
うんうん。
「すごく大切にしてくれるけど…」
「好きな女の人がいるみたいな…」
うんう…ん?え、それって…
「お母さんのお店で働いてる人でしょ?」
「えっーと、悠人さんだっけ?」
稲妻が身体に落ちたように頭がビリビリする。
「あ、あ、あいつかーーーー!!!」
(嘘でしょ、全然気付かなかった!だっていくつ離れてると思って…どえぇーー!!?)
頭を抱えたまま悶絶してしまう。
「びびった~やっぱ、今日の真緒、変…」
「うん…情緒不安定だね…」
(悠人の好きな人って、自分で言うのもあれだけど私でしょ?うわー真緒ってば、いつからあいつのこと…え~知らんところで真緒のこと傷付けたりしてたのかなぁ…まじかぁ~)
「あ、そういや朝のトイレでのことだけどさ!」
「え、あぁ~ちょこっと言い過ぎちゃったかな?」
今さら、えへへ☆と笑う。
「あいつら日野に相手にされないからって、真緒にキツいこと言ってたからさ、ちょっとスッキリしちゃった(笑)」
「真緒もいきなりあんなこと言うからビックリしたよ~」
「あ、へへ。堪忍袋の緒が切れまして(笑)」
「でも気を付けなよ、あいつらちょっと悪い先輩とも付き合いあるみたいだからさ」
「それ聞いたことある~放課後に空き教室とか使ってヤバいことしてるって噂だよね」
ふーん、進学校なのにそういう奴らもいるもんなのね。
束の間の昼休みも終わり、午後からの授業にもサッパリ付いていけず、あれやこれやと言っている間に放課後となった。
「あぁ~終わったぁ~」
机にぐで~と突っ伏す。
「おい、こ、この後、練習…来ても良いけど、まぁ前半は女子がコート練習で男子はランニングだから、見に来るなら17時半くらいからの方が良いと思うけどさ…(早口)」
「は?さっさと練習行きなさいよ」
冷たく言い放つと、日野くんはムグッと口をつむぎ、ダダーッと走り去ってしまった。
「翔太ー!カバンカバン!!菊川ぁ、うちのレギュラーをあんま弄んでやるなよぉ~。翔太、待てよ~」
まさか真緒が悠人のことを好きだと思わなかった。
母親としてはちょっと応援しにくいけど、本人の知らないところで別の男と仲良くするのはちょっとね。
それにしても…
「つ、疲れたぁ…」
ため息混じりに声が漏れる。
今日は杏奈ちゃんは委員会、栞ちゃんは塾があるからと行ってしまった。
ひとりで靴箱に向かっていると、後ろから声をかけられる。
「あ、ねぇ。菊川…真緒さん?」
振り返ると、眼鏡をかけた優しそうな男子がニコニコ微笑んでいる。
「はぁ…そう、ですけど何か?」
「ちょっとだけ時間良いかな?」
名札の色が違う…2年か、3年?
早く帰りたいんだけど…はっ!ま、まさか告白……??
少しドキドキしながら、その男子のあとを付いていく。
真緒め、モテモテじゃないですか。
思わずにやけそうな顔を抑える。
「ファイオーッオーッ」
「ファイオーファイオーッ」
「ファイ……」
「どした翔太?」
「あれ…」
西校舎に向かうふたりを指差す。
「あ、菊川?…と、げっ…2年の佐伯?大丈夫か、佐伯って何か…色々変な噂聞くけど」
「おいっ!何サボってんだ!」
「あっ、すみません!!翔太行くぞっ!」
「……おぉ~」
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西校舎に入ると急に人の気配がなくなる。
特にこの4階は、生物室や家庭科室などが集まっており静かだ。
「ここで話したいんだけど、良い?」
教室の札は外されており、使われていないことが分かる。
「ごめんね~急に呼び出して。俺のこと分かる?2年の佐伯隼人」
「あ、あぁ~はいはい!佐伯先輩!」
いや知らんけど…と思いながらにっこり微笑む。
「そっかぁ~俺のこと知ってるのに、ノコノコひとりで付いてくるって…菊川さんって太田たちの言う通りなんだねぇ」
「太田?…あぁ」
トイレで絡んできたメスガキたちか。
ん、あの子らの言う通り……あっ、やば。
そう気がつくが先か、バンッと扉が閉められ、向こうから笑い声が聞こえる。
「ビッチ女~お前ウザイんだよ!」
「翔太くんにまで色目使うなよな~」
「隼人先輩、おねしゃーす☆」
太田たちの声だ。嵌められた。
「ちょっと!開けなさいよ!ねぇ!!」
ガチャガチャと動かすが、向こうから箒でも噛ませているのか開かない。
仕方ない、窓から…と思った瞬間、後ろから思い切り腕を引っ張られて逆側の壁に引きずられる。
「やっ!痛い!やめ…」
ガタンッと追いやられる。
「ここ、誰も来ないから穴場なんだ~ゆっくり可愛がってあげるね♪」
首筋に舌が這う。
「や、やだ!ちょ、やめてよ…いやっ!」
ガタガタと教室内で抵抗する音を聞きながら、太田たちが笑う。
「隼人先輩、優しそうな顔してヤリまくりだからな~」
「あの女、偉そうなこと言って絶対処女でしょ。先輩に女にしてもらえば良いわ」
「うわ~鬼畜(笑)あんたも先輩も(笑)」
「あっ!男バスがランニング中じゃん!翔太くん見えるよ♪」
「キャ~ほんとだぁ。下まで見に行こうよ~」
太田たちの声が遠ざかっていく。
私は佐伯に押し倒されたまま、首や耳を責め続けられる。
こんな奴に、大事な娘の身体を好きにさせるなんて…
悔しさのあまり震えがおさまらない。
「なに、怖いの?可愛い~」
クスッと笑いながら、佐伯の指がスカートの中に入ってくる。
ツツッと太ももを撫でながら、大事な部分に指が届きそうになる。
「っ!!そこは…」
「大丈夫だよ~俺結構優しいから、気持ちよくさせてあげるからね~」
「や、やめ…」
「ハハッ、女子の怯える顔ってそそるよね~もっと顔見せてよ」
「こ、この………そ…くそ…」
「ん?まだ抵抗する?いいよ~嫌がるほど燃えるって言うか…」
「っ!!このっ!へたくそぉぉぉーーー!!!」
ゴスッとみぞおちに蹴りを入れると、佐伯が床に倒れこむ。
「うぐっ!!……こ、こいつ…うっく!!」
ドスンッと佐伯に馬乗りになり、紫乃は胸ぐらを掴む。
「お前、誰に向かってそんな口きいてんだ?この私が、お前みたいなガキに感じるわけねぇだろ」
「え、き、菊川さん…?」
「さっきからへたくそな責めばっかしやがって。偉そうにヤリチンぶってんじゃねぇよ」
「へ、へたくそって…えぇ?」
「…二度とこんなアホなこと出来ないように、私が特別に教えてあげるわよ」
「えっ、何…ちょ、えっ!!?やめ…菊川さんーーー!!!」
つづく
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