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4
投稿者:はるまき
※日野の名前を、最初の人物紹介の時に「松野」と間違えてしまいました(><)
失礼しました。

******

「はい、そこまで!後ろから回収~」

チャイムとともにガヤガヤとみんなが動き出す。

(ぜ、全然分からんかった…)

ガクッと項垂れる紫乃。

(小テストって言うから大したことないと思ってたのに…真緒、ごめんよ~)

はぁ~とため息がでる。

「お、おい」

日野くんが何やらモジモジと声をかけてくる。

しかし紫乃の頭の中では追試の心配が渦巻いていた。

「…なに?」

「あ、き、昨日…急いでたら階段から落ちたんだろ。それって、よっぽど試合見たかったってことかな~って。俺はどうでも良いんだけど、そんなに試合見たいなら来週末にまた練習試合あるし…あっ、何なら普段の練習でも試合形式でやるから…ちなみに今日の練習は19時までやってるから…まぁ俺はどっちでも良いんだけど、お前がそんなに見たいって言うなら…(早口)」

「翔太。菊川、もういないぞ」

「え!?あ、あれ…」

「…お前、もっと素直になった方がいいぞ」

「べ、別に俺はどっちでもいいんだけどさぁ!」

*******

「さっきの小テスト難しかったねー」

「だ、だよねだよねー!めっちゃ難しかったよね!?」

「8割くらいしか解けなかったぁ」

「私も今回は満点キツいかな~」

「は、ちわり…まんてん…」

頭がクラクラしてくる。

それはさておき、ふたりには聞きたいことがある。

「あのさ、わ、私の好きな人のことなんだけどさ…」

「うんうん!」

「何かあったの?」

杏奈ちゃんと栞ちゃんは、待ってましたと言わんばかりに目を輝かせる。

「あ、いや~ど、どんな人だと、思う?」

「え?」

「いや、その、これまで私の話聞いてて、ふたりはどんな印象を持ったかなーって」

「あ~、まぁ…なかなか難しそうな相手ではあるよね」

「結構年上だし、巨乳好きなんでしょ?笑」

巨乳好きの年上…本当に日野くんじゃないんだ。

てっきり、照れ隠しだと思ってたけど。

「ずいぶん付き合いは長いけど…」

「歳の離れた妹みたいな扱いで…」

うんうん。

「すごく大切にしてくれるけど…」

「好きな女の人がいるみたいな…」

うんう…ん?え、それって…

「お母さんのお店で働いてる人でしょ?」

「えっーと、悠人さんだっけ?」

稲妻が身体に落ちたように頭がビリビリする。

「あ、あ、あいつかーーーー!!!」

(嘘でしょ、全然気付かなかった!だっていくつ離れてると思って…どえぇーー!!?)

頭を抱えたまま悶絶してしまう。

「びびった~やっぱ、今日の真緒、変…」

「うん…情緒不安定だね…」

(悠人の好きな人って、自分で言うのもあれだけど私でしょ?うわー真緒ってば、いつからあいつのこと…え~知らんところで真緒のこと傷付けたりしてたのかなぁ…まじかぁ~)

「あ、そういや朝のトイレでのことだけどさ!」

「え、あぁ~ちょこっと言い過ぎちゃったかな?」

今さら、えへへ☆と笑う。

「あいつら日野に相手にされないからって、真緒にキツいこと言ってたからさ、ちょっとスッキリしちゃった(笑)」

「真緒もいきなりあんなこと言うからビックリしたよ~」

「あ、へへ。堪忍袋の緒が切れまして(笑)」

「でも気を付けなよ、あいつらちょっと悪い先輩とも付き合いあるみたいだからさ」

「それ聞いたことある~放課後に空き教室とか使ってヤバいことしてるって噂だよね」

ふーん、進学校なのにそういう奴らもいるもんなのね。

束の間の昼休みも終わり、午後からの授業にもサッパリ付いていけず、あれやこれやと言っている間に放課後となった。

「あぁ~終わったぁ~」

机にぐで~と突っ伏す。

「おい、こ、この後、練習…来ても良いけど、まぁ前半は女子がコート練習で男子はランニングだから、見に来るなら17時半くらいからの方が良いと思うけどさ…(早口)」

「は?さっさと練習行きなさいよ」

冷たく言い放つと、日野くんはムグッと口をつむぎ、ダダーッと走り去ってしまった。

「翔太ー!カバンカバン!!菊川ぁ、うちのレギュラーをあんま弄んでやるなよぉ~。翔太、待てよ~」

まさか真緒が悠人のことを好きだと思わなかった。

母親としてはちょっと応援しにくいけど、本人の知らないところで別の男と仲良くするのはちょっとね。

それにしても…

「つ、疲れたぁ…」

ため息混じりに声が漏れる。

今日は杏奈ちゃんは委員会、栞ちゃんは塾があるからと行ってしまった。

ひとりで靴箱に向かっていると、後ろから声をかけられる。

「あ、ねぇ。菊川…真緒さん?」

振り返ると、眼鏡をかけた優しそうな男子がニコニコ微笑んでいる。

「はぁ…そう、ですけど何か?」

「ちょっとだけ時間良いかな?」

名札の色が違う…2年か、3年?

早く帰りたいんだけど…はっ!ま、まさか告白……??

少しドキドキしながら、その男子のあとを付いていく。

真緒め、モテモテじゃないですか。

思わずにやけそうな顔を抑える。


「ファイオーッオーッ」

「ファイオーファイオーッ」

「ファイ……」

「どした翔太?」

「あれ…」

西校舎に向かうふたりを指差す。

「あ、菊川?…と、げっ…2年の佐伯?大丈夫か、佐伯って何か…色々変な噂聞くけど」

「おいっ!何サボってんだ!」

「あっ、すみません!!翔太行くぞっ!」

「……おぉ~」

********

西校舎に入ると急に人の気配がなくなる。

特にこの4階は、生物室や家庭科室などが集まっており静かだ。

「ここで話したいんだけど、良い?」

教室の札は外されており、使われていないことが分かる。

「ごめんね~急に呼び出して。俺のこと分かる?2年の佐伯隼人」

「あ、あぁ~はいはい!佐伯先輩!」

いや知らんけど…と思いながらにっこり微笑む。

「そっかぁ~俺のこと知ってるのに、ノコノコひとりで付いてくるって…菊川さんって太田たちの言う通りなんだねぇ」

「太田?…あぁ」

トイレで絡んできたメスガキたちか。

ん、あの子らの言う通り……あっ、やば。

そう気がつくが先か、バンッと扉が閉められ、向こうから笑い声が聞こえる。

「ビッチ女~お前ウザイんだよ!」

「翔太くんにまで色目使うなよな~」

「隼人先輩、おねしゃーす☆」

太田たちの声だ。嵌められた。

「ちょっと!開けなさいよ!ねぇ!!」

ガチャガチャと動かすが、向こうから箒でも噛ませているのか開かない。

仕方ない、窓から…と思った瞬間、後ろから思い切り腕を引っ張られて逆側の壁に引きずられる。

「やっ!痛い!やめ…」

ガタンッと追いやられる。

「ここ、誰も来ないから穴場なんだ~ゆっくり可愛がってあげるね♪」

首筋に舌が這う。

「や、やだ!ちょ、やめてよ…いやっ!」

ガタガタと教室内で抵抗する音を聞きながら、太田たちが笑う。

「隼人先輩、優しそうな顔してヤリまくりだからな~」

「あの女、偉そうなこと言って絶対処女でしょ。先輩に女にしてもらえば良いわ」

「うわ~鬼畜(笑)あんたも先輩も(笑)」

「あっ!男バスがランニング中じゃん!翔太くん見えるよ♪」

「キャ~ほんとだぁ。下まで見に行こうよ~」

太田たちの声が遠ざかっていく。

私は佐伯に押し倒されたまま、首や耳を責め続けられる。

こんな奴に、大事な娘の身体を好きにさせるなんて…

悔しさのあまり震えがおさまらない。

「なに、怖いの?可愛い~」

クスッと笑いながら、佐伯の指がスカートの中に入ってくる。

ツツッと太ももを撫でながら、大事な部分に指が届きそうになる。

「っ!!そこは…」

「大丈夫だよ~俺結構優しいから、気持ちよくさせてあげるからね~」

「や、やめ…」

「ハハッ、女子の怯える顔ってそそるよね~もっと顔見せてよ」

「こ、この………そ…くそ…」

「ん?まだ抵抗する?いいよ~嫌がるほど燃えるって言うか…」

「っ!!このっ!へたくそぉぉぉーーー!!!」

ゴスッとみぞおちに蹴りを入れると、佐伯が床に倒れこむ。

「うぐっ!!……こ、こいつ…うっく!!」

ドスンッと佐伯に馬乗りになり、紫乃は胸ぐらを掴む。

「お前、誰に向かってそんな口きいてんだ?この私が、お前みたいなガキに感じるわけねぇだろ」

「え、き、菊川さん…?」

「さっきからへたくそな責めばっかしやがって。偉そうにヤリチンぶってんじゃねぇよ」

「へ、へたくそって…えぇ?」

「…二度とこんなアホなこと出来ないように、私が特別に教えてあげるわよ」

「えっ、何…ちょ、えっ!!?やめ…菊川さんーーー!!!」

つづく

※元投稿はこちら >>
19/11/05 04:43 (xbUCfAEJ)
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