「貴方…何処に行ってたの…私も絵美子もほったらかして…」
裕美子の二穴から抜け落ちた性具が、足元で唸りながら震えている…気にも止めずに裕美子が自分を抱き締めてきた
「貴方…もう何処にも行かないでね…私、何でもするから…」
秀之のスウェットを着ていたせいか、自分を秀之だと思い込んでいる… 裕美子の両手が存在を確かめるかの様に 自分の身体をまさぐり始めた
「何でもするから…何でもするから…」
譫言の様に呟きながら、裕美子の手がスウェットの下に潜り込み、肌に触れる
「裕美子さん…自分はヒデさんじゃ…」
……ママを慰めてあげて……
絵美子の言葉を 思い出す…
(…そういうこと、か…絵美子…)
……たとえ一夜限りでも、幸せにしてやるのが男の役割なのよ……
同時に、以前言われた 千代子の言葉も頭を過る…
「裕美子、ただいま…」
「貴方…」
裕美子は、もうこのまま狂い続けている方が 幸せなのかも知れない…
裕美子に口付けをし、そっと横たわらせる
添う様にピタリと身体を合わせると、裕美子が自分の胸にしゃぶりついてきた
「貴方…いつもの、してあげる…」
舌先で自分の乳首を転がし、片手は下半身をまさぐり始めた
「ウフフ、貴方 感じる?」
「ああ…」
裕美子の前で、秀之を演じきらなければ… ふと、壁の和竿が視界に入る…壁にぶら下げられた、あの朱赤に塗られたテンカラ竿が、無風の作業場で ゆらり、と揺れた
(ヒデさん…すみません…)
裕美子の指が雄穴を捉え、ゆっくりと解す様に練り上げてくる…
「!」
「気持ち、良いでしょう?」
自分の股に顔を埋め 口唇で雄穴を愛撫し、舌が内部まで侵入してきた
「そろそろ、良い?」
裕美子が淫蕩な笑みを浮かべながら 性具のひとつを掴み ベッタリと唾液を纏わせた
「お、あっ…」
性具が肛内に捩じ込まれる… 久し振りの感触に 隠茎が反応してしまった 不能の秀之では有り得ない身体の変化に、裕美子が驚いた表情を見せた
「!…貴方…良かった……治ったのね…院長先生にお礼しなくちゃ…」
裕美子が涙を浮かべている…二十年の時を経て、やっと 秀之と結ばれる事が出来る嬉しさで ポロポロと雫を溢していた…
「ああ、そうだよ、裕美子…」
「貴方、貴方…来て…私、幸せよ…」
朱赤のテンカラ竿が、ゆらゆらと揺れていた
裕美子と自分が同時に絶頂を迎え、果てたと同時に 一際大きく揺らぎ、ピタリと 動きを泊めた…
奥の間に裕美子を運び、そっと布団に寝かせる…その寝顔は愛らしく、僅に笑みを湛えていた
襖を静かに閉め、寝酒にと、缶ビールを開ける
一気に缶の半分程を流し込むと、キンと冷えた黄金の液体が 食道や胃の位置を教えてくれた
(これで、良かったのかな…師匠…)
欄間に掛けられた時計を見ると、午前0時を回っていた 少し寒いが、このまま寝よう と 座蒲団を半分に折り込み 枕にする
灯りを消そうと立ち上がった時、絵美子がパジャマ姿で現れた…
「起きていたのか…明日、学校に遅れるぞ?」
「タカ…ママの新しいパパになって?…そしたら、アタシ、タカの事 諦められる…」
絵美子の真っ直ぐな目が、自分を見つめていた…
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