「ねえ、また今週末も釣り?」
「悪いっ、ちょっと師匠の誘いは断れなくて…」
婚約者の理香が不機嫌そうに夕食のパスタをガラステーブルに投げる様に置いた
「うん、旨いよ、これどこのメーカーのミートソース?」
「何で手作りの可能性を全否定するのよ…死なすぞコラ」
秀之と裕美子の関係が羨ましくなり、取り敢えず彼女を作ったのが、そもそもの…
「気を付けて、ね… 先週帰ってきた時、凄く疲れた顔をしてたよ?」
「有り難う 来週はちゃんと式の打合せに行くから、今週だけ、勘弁」
「お土産、地酒なら許す」
「はい、すみません」
土曜の早朝、寝ている理香を起こさぬように そっと家を出た 最後に見た絵美子の、包帯に巻かれた顔がちらつく…
「ちょっと飛ばしても良いか?」
古くからの相棒、三菱の四駆に話かけ、エンジンをかける
それに応えるかの様に、タコメーターの針が軽快に踊った
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