「!…!…!!」
「静かにしろよ」
勇は容赦無く絵美子の顔面を殴り付けた 普通の感覚の持ち主ならば、少女の顔を殴ることに、多少の迷いや手加減を加えるだろう
勇には迷いや躊躇が無かった
「!…」
絵美子の鼻腔から、鮮血が一滴 ポタリと流れ落ちた
勇は器用に絵美子の両腕を後ろに回し、左右の親指を重ねて結束バンドで括り付けた 腰のバンドにぶら下げられた養生テープを絵美子の頬から頬へ、口を塞ぐ様に幾重にも貼り付ける
「こっちに歩け」
頭を鷲掴みにし、白いワンボックスの後部スライドドアを乱暴に開けて ベンチシートの足元に絵美子を転がした
うつ伏せで倒れ込んだ絵美子の靴を剥ぎ取る
裸足にすることで万一逃げ出しても走り辛くさせる為だ
今度は膝頭を押さえ、両膝も養生テープをぐるぐるに巻き付ける 足首では無く、膝を押さえる方が格段に動き辛い
勇は手慣れていた
厚手のブルーシートを、人型が浮き出ぬ様にベンチシート全体から絵美子を覆う様に被せる
「一丁上がりだ」
勇の口許からは、鼻歌さえ溢れていた…
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