マキが今まで出会った男達なら、未成熟な青い身体にむしゃぶり付く所なのだろう…だが マキの目論見は外れた
「止めてくれないか…怒るよ?」
「?」
「世の中、マキちゃんが思うような、浅ましい大人ばかりじゃ無いんだよ…君は絵美子の友達だろう?なら絵美子同様に、マキちゃんも自分の大事な存在だ もっと自分を大切にしなくちゃ…」
口では、もっともらしい台詞を吐いていたが、それはギリギリの理性が言わせていた… もし、絵美子の友達で無ければ、自分も浅ましい大人に成り下がる所だった…
馬乗りになりながら マキは呆気に取られた顔をしている 援交で知り合った大人達は皆、自分をチヤホヤと持ち上げ、お小遣いをくれ、思いのままに操れる存在だった
だが今、目の前に居る大人は、違う…
はっと思い出し、絵美子が覗いて居るだろう方向に振り向く
しかし、そこに絵美子の姿は無かった…
「絵美?…絵美、どこ?」
(あのメスガキ、この食堂のガキか…)
勇の運転するワンボックスが軽トラを追った先には、秀之の食堂が有った 少し離れた所に停車し、様子を伺う
「…行ってきまーす」
程無くして、絵美子とマキが沢に降りて行く姿を捉える
(わざわざガキだけになってくれるとは、ツイてるなあ)
勇は静かに車から降り、後を付けた 道路と沢を隔てる木々の蔭からショートカットの少女だけが水辺に降りて行く
(今しか無え)
勇が絵美子の背後から首に腕を巻き付け、空いた手で口を塞ぐ
「!」
「少しでも騒いでみろ、殺すぞ」
作業ズボンのサイドポケットからカッターナイフを取り出すと、チキチキと音を立て、刃を見せ付ける
慣れた動作だった 勇にとって、これが日常だった
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