(また根掛かりかよ…)
昨冬は積雪が少なかったせいか、沢は普段より水量に乏しかった いつもならヘビーウェイトのミノーで川底を舐めるように攻めて行くのが自分流で有ったが、今日のコンディションではミノーが重すぎて、すぐにロストしてしまう
それではウェイトを下げれば良いのかと言うと、軽くては飛距離が出ずに 良いポイントにミノーが届かない 今日のルアーセレクトでは、圧倒的に手駒が足りなかった
「あ、居た居たっ タカ、釣れてる?」
絵美子が中学校から帰ってきたようだ 昨年辺りから、絵美子は頻繁に自分と二人きりになろうとして沢まで追いかけて来るようになっていた
挙げ句の果てには、お嫁さんになると言い出す始末だ 自分が秀之の甥っ子とだという嘘を、この辺りの人達は昔から信じ込んでいる 真実を知っているのは、秀之、裕美子、自分、そして十三だけだ
勿論、絵美子の実の父親が、自分 だという事も…
「今日はさっぱりだよ」
「今日も、でしょ?ウフフ 」
絵美子は悪戯な笑顔でグサリとくる台詞を吐いた 大人気ないとは思ったが、ムッとした表情を作る
「ごめん、タカ、怒った?」
まだ中学生だというのに、男が怒れなくなるような困った顔を見せている…一瞬、絵美子に女を感じてしまい、何も喋れなくなってしまった
それを絵美子は本気で怒っていると取ったのか、絵美子も黙り込んでしまった…
リュックから水筒を取り出し、ぬるくなった麦茶で口を湿らせながら、絵美子に話しかける
「大丈夫、怒ってないから」
「本当?あー、良かった タカ、お詫びにさぁ…」
「?」
「フェラチオしてあげようか?」
口に含んだ麦茶を、全部噴いた
「な、なな何!?」
「だから、フェラチオ 男の人は皆好きなんでしょ?友達のマキが言ってた」
中学生ともなると、そういった性知識を貪欲に吸収するものだが、まさか…
「でも、した事ないから下手くそかも」
「当たり前だ、子供がそんなこと言うもんじゃ無い」
内心、ほっとしていた 最近の子はませていると聞くし、絵美子がそういった性行為を経験している可能性だって有るのだ
「えー、アタシ、もう子供じゃ無いよ」
絵美子がまた、ぷう、と頬を膨らませている
「エッチの仕方だって知ってるし、パパとママがしてるトコも見たこと有るし」
いや、あの夫婦の変態行為は少し違う、とも言えぬまま居ると、絵美子が喋り続ける
「でもね、ママ、パパじゃ無くてタカちゃんのオチンチン、て言ってたの…タカ、もしかしてママとエッチしてるの?」
おそらく、自分の男性器を複製した張り型を使って居たのだろう…
「そんな訳、無いだろう、裕美子さんはヒデさんの奥さんだし、自分には彼女も居るんだよ?」
慌てて取り繕う様に、早口で捲し立てる
「さ、この話はもう終わりだ、魚も釣れないし、戻ろう」
「嫌だ、アタシ、タカになら初めてをあげても良い」
びしょ濡れのウェーダーを履いている自分に絵美子が抱き付いてきた 学校指定の化学繊維製のブラウスが水に濡れ、スポーツブラが透けていた
「馬鹿なことを言うな、絵美子にはまだ早いぞ」
「マキはもう経験済みだよ?」
やはり最近の子はませている、だからと言って実子を抱くわけにはいかない
「絵美子がもう少し大人になったらな」
「本当?約束だよ!嘘吐いたらアタシ、死ぬからね!」
しまった…もう少しましな逃げ口上が有った筈だ…だが、もう遅かった
「朝採れの筍よ?」
晩飯は筍尽くしだった 定番の筍ご飯に、ワカメと合わせて炊いたもの、皮ごと焼いた蒸し焼きに、酢味噌和えに、筍入り味噌汁と 少しやり過ぎな感もしないではない
「絵美子もタカちゃんも、たくさん食べてね」
絵美子の、裕美子を見る目が 微妙に鋭かった やはり自分との関係をまだ疑っているのだろう…自分の母親に嫉妬する目付きは、既に女のものだった
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