トントンとリズミカルな音が聞こえてくる…
昨夜は禁酒している裕美子の前で酒を飲むのが面白くなり、ついつい飲み過ぎて知らぬ間に寝てしまった
恨めしげに睨み付ける裕美子をからかいながらも、ちゃんとお腹の子に配慮していることを知って安心していた
「あら、タカちゃん、おはよう」
台所で朝食の支度をしている裕美子が振り返りながら、微笑んだ 今日は日曜、食堂の定休日だ
「お水、いただけますか?」
「あら、二日酔い?私の前であんなに飲むからバチが当たったのよ?」
裕美子がぷう、と頬を膨らませる こんなにふんわりとした可愛らしい女性なのに、変態なんだよなあ…などと考えていた
「ヒデさんは?」
「まだ作業場から出て来ないの…タカちゃん、見てきてくれる?」
離れの様に渡り廊下で繋がれた作業場の戸を、スッと開けた 秀之は作業場の隅、竹を矯める火鉢にあたりながら大の字で寝ていた
「ヒデさん、風邪引きますよ」
「おう、出来たぞ、見ろ」
起き抜けに作業台を指差し、ニヤリと笑っている シリコンやレジン、石膏型などが散乱している中、二本の男性器が聳えたっていた
「どうだ、似てるか?ちょっと見せてみろ」
秀之が自分のスウェットズボンを下ろしにかかる
「ちょっ、止めて下さいってば」
「なんだ?、早くおっ立てろよ」
「無理ですよ、ヒデさんで立ったら変態じゃないですかっ」
「朝御飯、出来たわよ?」
台所から裕美子が大声で呼んでいた
「いただきます」
炊きたての白飯、ジャガイモと玉ねぎの味噌汁、塩鮭に赤筋大根の糠漬け
ごく普通の朝御飯だが、独り暮らしの自分には、この普通が御馳走だった
「やっぱり裕美子さんの糠漬けは最高です」
「うふふ、ありがとっ」
秀之は白飯に味噌汁をぶっかけ、ワシワシと胃袋に流し込んでいた きっと 腹に入れば一緒、なのだろう
「なあ、タカ、ちょっとまた頼みが有るんだが…」
また、この台詞だ、嫌な予感しかしない
「何です?」
「後であの複製張り型、テストするから付き合え」
「はあ、テスト…テスト!?」
口に含んだ味噌汁を、全部秀之の顔に噴いた
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