意気消沈して家路を辿り、帰宅したサクラは灯りも点けずにリビングの真ん中に座り込んでいた。
無性に寂しかった。
この世界には、サクラしか生き残っていないかのような孤独感。
こんな時に限って夫はいない。
今、いなくて・・
・・どぉーすんだよぉ・・。
八つ当たり以外の何物でもないのだが、サクラは荒れる。
灯りも点けず、着替えもせず、それでもストッキングだけは脱ぎ捨てると仏頂面を浮かべたまま、ぶつぶつと夫を責め続けた。
あ。
まただ。
また、あたし泣いてる・・。
小娘かよ・・。
ひとしきり泣いた後、サクラは立ち上がる。
冷蔵庫から夫の秘蔵品、ナントカいう純米酒を取り出して五号瓶の封を切る。
いささか大人げ無いが、側にいて欲しい時にいない夫には罰を与えねばならない。
とくとくとく・・
小気味良い音を立てて、冷えた純米酒をグラスに半分ほど注ぐと、芳醇な香りが立ち昇る。
泣く子と酔っ払いには敵わない・・。
夫の言いそうなことだ。
うるせーな・・・
・・全部、呑んでやる。
とは言え、さほど酒に強くはないサクラ。
二杯目を干した頃には、早くも酔いが廻り始めていた。
間接照明の下、点けっ放しのテレビを観るともなしに観ながら、手の中にあるスマホを弄る。
何の脈絡も無くリンクを辿るサクラ。
ん?
何だ、これ?
官能小説・・。
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