「でも、びっくりしましたよぉ。」
「ナナちゃんの方から、夜中に抱きついてきたんだってば。」
「だから、あんな夢を見たのかな・・。」
朝食を摂りながら、頬を染めて呟く少女は夢の内容を話そうとしない。
・・そんなにエッチな夢?
恥ずかしくて言えないらしいが、『エッチな夢ではない』ことだけはキッパリと断言していた。
ま、だいたい分かるけどね・・。
追求はしない。
武士の情けだ。
朝、目覚めた瞬間のナナは、軽いパニック状態に陥っていた。
まさに『ここは何処?・・あなたは誰?』状態のナナは徐々に昨日の出来事を思い出す。
だが、ナナの記憶には、サクラと同じ布団で抱き合うように寝ている次第がスッポリと存在しない。
え?・・なんで?
・・あたし・・え?
その時のポーズと表情は、思い出すだけで噴き出してしまう。
何故ならば、酔い潰れてお持ち帰りされてしまった女の子が、シーツで身体を隠しながら半ベソで着衣の乱れ、或いは知らぬ間に為された行為の残滓に戸惑う姿そのものであったのだから。
「何もしてませんから御安心下さい。」
「・・ですよね、ですよね・・。」
ようやく落ち着いた少女は、照れ隠しに自分が朝食の準備をすると言い出した。
任せたサクラは洗濯機を回し、ナナの服と下着を乾燥機に掛けアイロンを当てる。
余談だが、今、ナナが穿いている下着はサクラのモノだった。
昨夜、入浴の前にパンツを貸してくれと言い出した少女は俯きながら呟いた。
「・・汚しちゃった・・。」
打ち明け話をしながら、知らず知らずのうちに昂ぶってしまったらしい。
入浴しながら手洗いを済ませた下着は、洗濯機に放り込んでおけば良い。
ついでにインナーのシャツと着ていたワンピースも洗ってあげるから。
そうこうするうちに朝食の準備が出来、向かい合わせに座った二人は、昨日の昼食から始まり、実に三食を共にしていることに気付く。
「あ、昨夜のヤキソバを入れたら三食半。」
「お昼にヤキソバの復習をするんなら、四食半になりますね・・。」
・・合宿みたい・・。
そう言って笑うナナ。
・・何の合宿・・?
問い掛けたサクラに対して、暫し考えた末に少女が真顔で答えた。
「恥ずかしいことブチ撒け合宿、かな。」
だが、少女は知らない。
自分が『かなり恥ずかしい寝姿』を撮影されていることを。
そして、その『恥ずかしさ』では、如何にナナと言えども、性的な昂ぶりを得ることは不可能であることを。
※元投稿はこちら >>