「じゅ、じゅうねん・・?」
「そ。十年。十年以上かな・・。」
自嘲的に呟くサクラ。
言ってしまった。
だが、サクラに後悔は無い。
むしろ気が軽くなったサクラは、やや自暴自棄の感もあるが、後は何でも話すことが出来る、そんな気持ちになっていた。
目を丸く、唇を半開きにしたナナは何事かに想いを馳せている。
「義務教育より・・長い間・・。」
・・第一声が・・それかよ・・。
だが、早生まれだというナナは未だ十六歳。
サクラにとっての十年とナナにとっての十年、そこに大きな差があるのは間違いない。
「・・ごめんなさい・・。」
「謝らないでよ・・。ナナちゃん悪くないし。」
それに謝られたら却って惨めだ。
「た、だ、し・・。」
ここまで話した以上、腰を据えて話を聴いてもらいたい。
「任せて下さい。」
そう言って立ち上がった少女は、一言断わるとトイレに向かう。
少女の腰を据える覚悟の程が伺えた。
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