「で、どうしたの?」
「仕方がないから・・」
生理の予定日を数日後に控えた少女は一計を案じる。
「ナプキンで蓋をしたっていうか・・」
幸いにして生理用品と専用の替下着は持っていた。
ポケットティッシュで精液を拭えるだけ拭うと、少年を見張り役に立たせた少女は、絶対に見ないように言い含めて生理の時と同じ処置を施す。
「『鶴の恩返し』状態でした。」
「?」
・・決して覗いてはいけません・・。
・・なるほど。ヨヒョウもびっくりだ。
二度と中で射精はさせない。
そう誓った少女。
避妊に関する心配もあるが、後始末の大変さには辟易した。
「そう言えば大丈夫だったの?」
「お陰様で退学にはなりませんでした。」
大丈夫、それは勿論、妊娠だ。
とはいえ、二日後に生理を迎えた時にはホッと胸を撫で下ろしたという少女。
いずれにせよ、大人の階段を上った二人は、躯を交わすようになるが、場所の問題もあり頻度は決して高くない。
「月に一回か二回・・くらい・・。」
先にも述べたように、自慰に耽る以上に場所への配慮が必要だ。
「ちなみに大人って・・」
成人した、そして既婚者の性行為はどれくらいの頻度で行われるものなのか。
思わず口籠もり、視線が泳いでしまうサクラ。
・・十年以上・・してないなんて・・
言えない。
言いたくない。
「それは・・個人差があるから・・」
・・一概には言えないよ・・。
それでお終いにしようとするサクラだが、好奇心の塊となったナナは更なる質問を重ねる。
「ちなみにサクラさんは?」
言い澱み、黙り込むサクラの様子に異変を感じたのか、怪訝そうな表情を浮かべるナナ。
勿論、嘘をつくことも出来た。
だが、心を開いて自身の初体験を、、勝手にではあるが、、話してくれた少女に対して不誠実な態度を取りたくない。
それに、だ。
この少女であれば。
昨夜から今、この瞬間にかけて互いの痴態を眼にし、淫らな意味ではないが裸を晒し、肌を合わせた少女。
一緒に食事もした。
食欲と性欲という三大欲求の内、ふたつを満たす姿を共有した少女。
彼女にであれば、決して他人には明かすことが出来なかった身の内に潜んだ想いを話しても良いのかもしれない。
いや、違う。
この少女しかいない。
この少女に聞いて欲しい。
不味い質問をしてしまった。
そんな後悔の表情を浮かべ、ナナは戸惑っている。
サクラは考える。
話しながら自分は、泣き出してしまうかもしれない。
いや、泣き出してしまうに違いない。
・・みっともない・・。
・・何が?
自分は既に散々みっともない姿を晒しているではないか。
サクラは堰を切ったように話し始めた。
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