最後に軽くシャワーを浴びた二人は、ロッカールームに足を運ぶ。
備え付けのバスタオルで身体の水分を拭い去ると、サクラは館内着を素肌の上から直接、身に付ける。
ふと見ると、傍に佇むナナは動揺を隠し切れない表情を浮かべていた。
「どした?」
「直接・・ですか・・?」
「そだよ。」
「パンツ・・も・・?」
「うん。」
「す、透けちゃいません・・か?」
・・透ける?
キミの身体の何が・・?
十年、早えぇよ。
とは、さすがに言えないサクラは、懇切丁寧に説明を始める。
そもそも岩盤浴とは、人工的な環境下で大量の汗をかき、体内の老廃物を排出するのが目的だ。
「びっくりするくらい汗かくよ。」
汗をかくとどうなるか。
「下着なんてビチョビチョだよ?」
「・・分かりました・・。」
消え入りそうな声で応えた少女は、周囲を気にしながら、安っぽい七分丈のトレーナーのような上下を身に付ける。
躯を縮め、猫背になった少女は、乳房のラインが露わにならないよう、左右の腕で胸を隠すような仕草をしながらサクラの後を尾いて歩く。
「ほら。」
サクラは備え付けのバスタオル二枚をナナに渡しながら説明する。
一枚は、床に敷く為。
もう一枚は、躯の上に被せて透けないようにする為のモノ。
ようやく安堵の表情を浮かべたナナは、それでもバスタオルを抱えるようにして行動する。
「まずは小手調べ、と。」
最もイージーなコース、『孔雀の間』とやらに入ってみる二人。
ムッとするような熱気が二人を包み込む。
「思ったよりカラッとしてますね。」
「そうなんだよね・・」
湿度が高いと却って発汗し難くいという理屈はさておき、二人は並んで寝転ぶことが出来るスペースを確保する。
早くも汗ばみ始めた少女は、額に沸々と珠のような汗を浮かばせている。
「あ、これ。脱水症状防止用。」
「有難う御座います。」
サクラが手渡したのは、ミネラルウォーターの入ったペットボトル。
そわそわと落ち着かないナナは、何かを誤魔化すかのようにキャップを開けて、水分を補給する。
※元投稿はこちら >>