肩まで湯舟に浸かった少女は、左右の腕で乳房を隠すように覆ったまま、微動だにしない。
「どうかした?」
戸惑いの表情を浮かべ、ナナは呟く。
「ち、乳首・・立っちゃった・・。」
「え?え?え?」
・・マジっすか・・?
呆然とするサクラ。
当惑するナナ。
・・うむむ、どうしよう・・。
放って置けば、つまり興奮が収まれば、解決する問題であるのは間違いない。
だが、当惑し、羞らう少女は、その羞らい故に興奮が昂ぶりに変わってしまい、状況が解決に向かわない可能性がある。
見るともなく、周囲に視線を走らせるサクラの眼に、ガラス張りの壁面の外にある露天風呂が留まる。
「ナナちゃん、立てる?」
「・・・無理・・。」
俯いた少女は、イヤイヤをするように首を左右に振る。
欲情した姿を他人の視線に晒すことに抵抗があるのは理解出来る。
「露天風呂なら・・」
今は他に人がいない。
移動の際、一時的に外気にさらされる為、落ち着くことが出来る可能性がある。
移動はサクラが前に立って歩くから、ナナはタオルで胸を隠して後ろを従いて来れば良い。
こくり
善は急げ。
サクラは立ち上がり、置いてあった洗体用のタオルを広げると、ブラジャーよろしくナナの胸部に巻き付ける。
「さ、行こ。」
ナナを促し、露天風呂に向かう二重扉になったサッシを開けるや否や、四月の外気に全身を包まれる二人。
「「寒っっ!」」
異口同音に叫んだ二人は、慌てて露天風呂に向かう。
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