サクラの導きに従い受付を済ませ、二人は渡された館内着とアメニティグッズを手に、壁に貼り出された館内見取り図の前で立ち止まる。
「あたしたちが今いるのはここ・・」
大きく四つのエリアに分割された館内。
靴箱、受付、売店などが存在するエントランス。
喫茶室、レストラン、自動販売機コーナー、仮眠室を備えた休憩コーナー。
ジャグジー、果実湯、露天風呂、サウナ等、各種趣向の凝らされた風呂を備えた大浴場。
各種の温度帯に分かれた岩盤浴エリア。
「こ、こ、混浴・・じゃないですよね?」
「残念ながら、お嬢様、お風呂は男女別。『こ、こ、混浴』ではありません。」
ホッとしたような表情を浮かべた少女は、サクラの次の一言に、再び小さな躯を固くする。
「岩盤浴は男女一緒だけどね。」
「え?」
「大丈夫、これ着てだから。」
館内着を掲げるサクラ。
「びっくりした・・。」
胸を撫で下ろすナナと一緒に大浴場、、女湯の暖簾をくぐるサクラ。
思ったより人影の少ないロッカールーム、二人は並んで服を脱ぐ。
ちらちらとサクラを横目に見ながら、脱いだ服をまとめてロッカーに仕舞うナナ。
気恥ずかしさを感じながら服を脱ぎ終えると、サクラは髪を纏めて結わえる。
「ナナちゃん、見過ぎだよ。」
「あ。え。すみません。でも・・」
歳上の女性の裸を見るのは、久しぶりだというナナ。
母親は弟達の面倒で精一杯、物心ついて以来、ナナを風呂に入れるのは専ら父親だったという。
「いいなぁ。」
サクラにしてみれば、盛りを過ぎ、そして衰えつつある躯が、ナナの眼には必要な部分に必要なだけ肉のついた充分に成熟した女性の裸体に見えるらしい。
・・緩んできてるけど、ね。
サクラが密かに自負している形の良い乳房にも、羨望の眼差しが注がれていた。
「お肌もスベスベ・・。」
胸が小さい、痩せっぽちである自身の裸体に劣等感を抱えているというナナ。
「いやいや、これからだよ。それに・・」
確かに華奢な躯は肉が薄いという表現がぴったりな、肩幅の狭い少年のような少女の裸身。
ようやく乳房の体裁を取り始めたふたつの膨らみは、その先端に桜色に色付いた小豆ほどの乳首を尖がらせている。
普段、陽に晒されている部分の肌は、それなりに陽に灼けているが、衣服で隠されている部分は抜けるように白く、透明感すら感じられた。
下腹部に至っては、もはや蒼白いとしか言いようが無い。
恥丘から秘裂にかけては、生え揃ったばかりの細い恥毛で彩られ、その部分だけは辛うじて女を示していた。
それは未成熟な故に、いや、未成熟だからこそ放たれる妖しい艶やかさを有した若い牝の裸身に他ならない。
・・オッさんが狂っちゃうわけだよなぁ。
見惚れるサクラの視線に気付いた少女は、視線を逸らせ、俯く。
「サクラさんも見過ぎ・・。」
「ゴメンごめん。でもナナちゃん桜満開だよ。」
「え?」
「全身、桜色になってるもん。」
羞らいながら型通りに左の腕で胸を、右の腕で下腹部を隠し、身を縮めるナナ。
ああ。
そういうことか。
桜の樹皮から生じる桜色の染料。
ナナにすれば劣等感すら感じる程、未熟で不恰好な躯だが、サクラにしてみれば信じられない程の生命力を秘めた可能性に満ちた存在にしか見えない。
その生命力と可能性こそが桜色の染料なのだろう。
その証拠に昨夜のナナは、その幼い躯に住まわせた生命力の塊とも言える獣を解き放ち、女として、いや、牝としての快楽を貪っていたではないか。
あたしは・・もう・・
・・搾り滓・・だ・・。
「サクラさん?」
「ん。あぁ。ごめん、見惚れてた。」
「ん、もぉ。早くお風呂、行きましょ。」
気を取り直し、ナナに促されるままにサッシを開けて大浴場に脚を踏み入れる二人。
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