パスタを平らげたサクラとナナは、食後のコーヒーを前にして、くつろぎながら、当たり障りの無いガールズトークを繰り広げる。
転々と変わる話題が、冷え性に辿り着いた時のことであった。
サクラは不意に思い出す。
「あ、そうだ。」
訝しげな表情を浮かべるナナを尻目に、サクラは一枚のチケットを取り出した。
「じゃーん!」
「?」
「岩盤浴ご招待券、しかもペアだよ。」
夫は興味を示さないので、適当なタイミングを測って一人で行こうと思っていたのだ。
しかも有効期限は残り僅かだった筈。
「え?え?でも悪いですよ。」
どうせ貰い物なのだ。
無理強いをするつもりは毛頭ないが、良かったら一緒に行かないか。
「ただし、未成年は二十時迄、かつ保護者同伴が条件だけどね。」
「お母・・・お姉さんに連れて行って貰う体裁ですね。」
「そう。『お姉さん』と。」
失言を寸前で撤回したナナ。
やや強引に保護者の設定を限定するサクラ。
「ご一緒しましょう、お姉ちゃん。」
「良し、行こう。妹よ。」
サクラが身支度を済ませる間に、ナナが洗い物をすることにして出掛ける準備をする二人であった。
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