その小さな公園の端には、数本の桜の木が植えられていた。
それは樹齢云々というレベルではなく、その幹は人間の身体よりも細い。
だが、今を盛りとばかり、満開に咲いた桜の花には充分な見応えがあった。
雲の切れ間から溢れる月の光に照らされた桜の木は、不思議と怖くない。
思わず公園の敷地に足を踏み入れるサクラ。
かさり
枯葉でも踏んだのか、サクラの足元で乾いた音がした瞬間であった。
「やだ・・誰か・・いる・・。」
「え?」
え?
息を呑むサクラ。
次の瞬間、二匹の猫、、恐らくは牝を巡る争いの最中にある二匹の牡猫、、が唸り声を上げながらサクラの足元を走り抜ける。
「猫だよ・・。」
「・・猫かぁ。」
若い、いや、幼いと言った方が良いような男女の声が聞こえた。
凍りついたように身動ぎひとつ出来ないサクラは、その場に立ち尽くしてしまう。
サクラの存在に気付かず、ふたりは密やかに言葉を交わし続ける。
途切れながらも聞こえてくる会話の内容からすれば、どうやら高校生のカップルらしい。
立ち去れば良いのだが、機を逸したサクラは逡巡したまま、その場で固まっていた。
二人の会話が途切れる。
代わりに湿った声を漏らし始めた少女。
ん。
ぁ。
少女の漏らす呻き声に甘い響きが混ざり始め、声を漏らす間隔が徐々に短くなっていく。
サクラは躯が火照り始める。
いや、火照るどころではない。
尿意を我慢する幼児のように太腿を擦り合わせるサクラ。
不意に雲の切れ間から月が姿を現し、サクラと二人の高校生を照らし出す。
ベンチに並んで座る二人は制服姿であった。
セーラー服姿の少女とブレザーを着た少年は、身を寄せ合って互いの躯に手を這わせている。
だ・・め・・。
少女が弱々しく少年の手を拒むたびに、少年は自分の唇で少女の唇を塞ぐ。
唇を塞がれた少女は徐々に抗うことが出来なくなっていく。
盗み聞きをしている。
覗き見をしている。
サクラは罪悪感と背徳感に包まれながらも、かつてない程に興奮していた。
しかも高校生のカップルが睦み合う姿を前にして欲情しているのだ。
今までに感じたことのない種類の昂ぶり方としか言いようが無かった。
んっあんっぁ・・んんっ・・・
いつの間にか男子生徒の手は、女子生徒の制服の下に潜り込んで蠢めき始めている。
制服の下、或いは下着の中にまで潜り込んだ少年の指の蠢めきが、少女を女に変えていく。
男子生徒は腰を浮かせると女子生徒の正面、ベンチの前にうずくまった。
「あっ。だ、駄目、駄目だよっっ。」
左右の足首を少年の左右の手で握られた少女は、ベンチの上で所謂、M字開脚の姿勢を取らされていた。
いや、それだけではない。
足首を握ったまま、男子生徒はスカートの中に頭部を
潜り込ませたのだ。
少女はスカートの生地越しに少年の頭部を押さえつけ、その侵入を阻もうとするが、その抵抗も長くは続かない。
「あ。汚な・・い。汗・・オシッコ・・。」
日中に汗をかき、今日、何度か排尿をした股間に男子生徒が何をしようとしているのか、女子生徒は何をされているのか。
確認こそ出来ないものの、想像は可能だ。
少女の左右の足首を掴んだ少年の左右の手は塞がっている。
スカートの生地の下、潜り込んだ男子生徒の頭部は女子生徒の下腹部に近接していた。
どんな匂いがするのだろうか。
どんな味がするのだろうか。
いささか品の無い想像を膨らませている自分自身をサクラは恥じていた。
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