風呂を上がったあたしは、裸のまま髪を梳かされ、肩まで白粉を塗られ、唇に紅を引かれた。
一切の下着を着けないまま、あたしは神事用の薄物だけを着させられ、梳られた髪を首の後ろで結わえられる。
「ここに座って。後は分かるわね?」
そう言って姿を消す奥さん。
あたしは、こくりと頷き、示された場所に正座して待機。
下げられた御簾の向こう側で儀式の説明をする神主。
御簾が上げられ、あたしは促されるままに皆の前に進む。
教えられた通りに三つ指をついて、一夜漬けの口上を口にするあたしに神主が指示を出す。
・・この時が遂に来た・・。
敷かれていた布団の上で仰向けに寝そべったあたしは、神主に足首を掴まれた。
堪らずあたしは、両手で顔を隠す。
恐怖と羞らいのあまり、全身の筋肉が強張っていた。
ヤヨイにしか見せたことのない『女の子の大切なところ』が、集落中の男衆の眼に晒されていた。
・・死にたい・・。
・・ごめん、ヤヨイ・・。
・・ヤヨイの為だけのものだったのに・・。
「間違いなく男は知らん・・。」
当ったり前だろ・・。
ピカピカの新品だっつーの・・。
だが強がりもそこまで。
左右の眼から流れる涙が止まらない。
限界まで消耗したあたしは、広げられた両脚を閉じることも、晒されたままの秘部を隠す気力も無い。
・・もう好きにして・・・。
・・ヤヨイじゃないんなら、誰だって一緒だよ・・。
「では、この娘を嫁に取ろうという者はいるか?」
・・いるわけ無いだろ・・
・・こんな女の子・・
・・嫁に貰ったら笑いモノだよ・・。
「・・・誰もおらん、か・・・。」
その時、その場に響めきが疾った。
「お、おい・・。」
・・何?
・・何があったの・・?
・・さっさと終わらせてよ・・。
・・あたしゃ覚悟、出来てるんだから、さ・・。
「・・ヌシが・・か・・?」
え?
薄眼を開け、涙でボヤけた視界の中、誰かの手が挙げられている。
・・誰・・?
指先で涙を拭うと視界がクリアになった。
クリアになった視界の中、真っ直ぐに挙げられた手の主。
・・・ウソ・・。
ウソ、嘘、うそ、ウソ、嘘、うそ・・・。
・・・本当・・なの?
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