その日以来、あたし達は恐る恐る互いの身体に触れるようになっていく。
最初は服の上から。
次に服の下に手を潜らせて。
三ヶ月も過ぎた頃には、生まれたままの姿で指だけではなく、唇、舌を互いの身体に這わせるようになっていく。
半年も過ぎた頃には、あたしの身体にヤヨイの舌が触れていない箇所は無くなっていたし、ヤヨイの身体にあたしの舌が触れていない箇所も無くなっていた。
一年も経たないうちにあたし達は互いを悦ばせる術に熟知していたが、真の意味での性交には至っていなかった。
「い、痛っ!」
「・・ダメかぁ。」
あたしの身体は昂ぶるあまり、果てることこそあっても、挿入を受け入れることが出来なかった。
あの手、この手を試してくれるヤヨイだが、そもそも濡れないのだ。
あたしの性器は二枚貝のように閉ざされ、指の侵入すら受け付けない。
あたしは焦る。
身体に欠陥があるのではないのか。
あれ程までに昂ぶるにも関わらず、一向に潤わないのだ。
ヤヨイにだったら何をされてもいいのに・・。
ヤヨイにだったら何でもしてあげるのに・・。
だが、それだけは叶わなかった。
いっそ、無理矢理でも構わない。
痛みだったら、あたしが我慢すれば済むのだから。
泣きながらそう言ったあたしに向かって、ヤヨイは事も無げに言ってくれた。
今のままでも構わない・・。
それに・・
「それに?」
「ずっと一緒にいるんだから、焦ることないよ・・。」
・・ずっと・・一緒・・に・・?
『もう一度、言ってよ。』
あたしは喉元まで出かかった言葉を飲み込んだ。
聞き間違えだったら、、、意味が違ったらどうしよう。
そう思ったら聞き返すことが出来ない。
いっそ嘘でも構わなかった。
せめて暫くの間だけでも、先刻の言葉を噛み締めていたい。
そこまで思い詰めていたあたしをヤヨイは黙ったまま抱き締める。
・・聞き間違えじゃないの?
・・本当・・なの・・?
問い掛ける勇気も無いまま、あたしはヤヨイの肩に顔を押し付けていた。
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