直美ちゃんはクラスで…いや学年でもトップクラスで可愛く、いつも輪の中心にいてるような子。
僕は話した事もないし、違う人種にしか思えてなかったから全く意識しなかったけど、体育の授業の時に見た体操服の胸の辺りを丸く小さく膨らませてる直美ちゃんの胸を見た時に、何故か僕はドキドキして、その日から直美ちゃんを見る度にドキドキとソワソワと胸がチクチクする感覚を覚えて、後々になって
あ~ これが恋か?
と気づいたものだった。
その直美ちゃんが微笑みながら話し掛けてくれた。
当時は結局 話した事もなかったのに。
「稲岡君みたいに私も賢くなりたいよ」
「いや~それほどでもないよ、直美ちゃんも頭良かったじゃん」
そう答えると直美ちゃんは目を丸くして こちらを見返すだけで会話が止まってしまい、あの時と違うドキドキが僕を襲ってきた。
1つはこんな間近で直美ちゃんを見て改めて可愛いと思う事。
もう1つは何かまずい事言ったかな?と。
「頭良かったじゃん」て過去形になってしまったのがまずかったかな?と。
この沈黙をなんとかしなければと思っていると、急に直美ちゃんの顔が赤くなり、視線を反らしてモジモジとしだしたで
「ど、どうしたの?」
と聞くと、更に顔を真っ赤にして答えた。
「だ…だって……『直美ちゃん』て下の名前で呼ぶんだもん。ビックリしちゃった」
僕は直美ちゃんとは話した事なんて無かったのに、いつも自分の頭の中だけで直美ちゃんの名前を連呼してるだけだったのに、ついつい「直美ちゃん」なんて馴れ馴れしく言ってしまった。
「あっ、ゴメン。下の名前で呼んだりして、本当ゴメン」
「ううん。いいの。別に構わないんだけど……なんかドキドキしちゃった」
直美ちゃんが僕にドキドキしてる?嬉しい。
「私も下の名前で呼んでいい?……貴史くん」
直美ちゃんが!僕の名前を呼んだ!嬉しすぎる!
僕の下の名前を知っててくれた!更に嬉しすぎる!!
しかも帰り際に更に更に嬉しすぎる言葉が!
「ねぇ貴史くん。私に勉強教えてくれない?」
「えっ?えっ?別にいいよ。わかる範囲でよければ」
「やったぁ!じゃあ今日、私の家に来てね」
直美ちゃんの家に!二人きりで!!
もう僕は死んでしまいそうだ。
※元投稿はこちら >>